7月の閣僚会合で決裂した世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)で、一部の関係国が年内の閣僚レベル会合の開催と大筋合意を目指す方向で調整に入っていることが14日、分かった。開催する場合は、12月中旬の日程が浮上している。
世界的な金融危機が各国の実体経済に波及し、通商面でも保護主義の台頭が懸念される中、自由貿易の推進に向けた強い姿勢を示す狙いがある。
ただ、途上国の一部などには交渉の本格再開に慎重な意見も根強く、実際に年内に各国がまとまって協議を前進させられるかどうかは流動的な面もある。
関係筋によると、米ワシントンの緊急首脳会合(金融サミット)の声明にドーハ・ラウンド推進のメッセージを盛り込み、その後、ペルーの首都リマで22、23日に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でも同様の方針を打ち出す方向だ。
ドーハ・ラウンドは途上国の緊急輸入制限(セーフガード)措置問題などをめぐって米国とインド、中国の対立が解けず7月末の閣僚会合で決裂。WTOのラミー事務局長らがその後も早期妥結を目指し、関係国と調整していた。