2008年11月12日(水) 22時23分
【定額給付金】市町村の混乱不可避 丸投げ年内支給(産経新聞)
自民、公明両党が12日に大枠を決定した「定額給付金」は、政府・与党内でもめた所得制限のあり方や支給手続きなど具体的な内容のほとんどを支給窓口を担う市町村に「丸投げ」した格好だ。総務省の生活支援定額給付金実施本部で具体化の作業が本格化するが、「年度内支給」という厳しい条件の中、市町村の混乱は避けられそうにない。
総務省の実施本部では、市町村が作成する「給付要綱」のガイドラインを早急に作成し、自治体側に説明していく。
支給方法についてはこれまでのところ、平成21年1月1日を基準日に、住民基本台帳に掲載されている氏名、住所、生年月日などの情報から、給付対象者と給付額を決め、同年3月までに各世帯に給付金引換券を郵送などで発送、世帯主などが引換券と身分証明となる免許証や保険証などを持参し、給付を受ける仕組みが検討されている。
受け取る方法として最有力なのが、申請者があらかじめ指定した金融機関の口座に振り込む方式だ。現金を直接支給すると、窓口業務が煩雑になる上、虚偽の申請による二重取りや、受け取った直後のひったくりというような犯罪が発生しやすくなる問題が想定されるためだ。
しかし、沖縄県座間味村をはじめ、人口1000人未満で指定金融機関を持たない約50町村では、振り込み方式はかえって煩雑になるため、最終的に市町村に判断を委ねる。
所得制限をしない市町村は、全世帯主に通知して、給付すればよいが、所得制限をすると数々の問題を抱えることになる。
21年の所得が所得制限額を超えた場合、翌年に返還することに同意する文書を申請時に提出させ、同意しなければ給付しない方法が検討されているが、事務作業が煩雑になるのは避けられない。額を決めるのも頭の痛いところだ。所得制限をすると、結果的に市町村の懐は温まる。しかし、市町村ごとに額にバラツキが出ると公平性の問題をいわれかねない。
全国市長会の佐竹敬久会長(秋田市長)は12日の会見で、所得制限を市町村が決めることは「所得制限方式を事実上取らないということだ」と、多くの自治体が制限を設けないだろうとの見通しを示した。外国人への支給対象も市町村任せになった。永住外国人に限定するのか、納税しているすべての外国人にするのかという線引きも課題だ。
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