2008年11月12日(水) 19時10分
【弁護側の最終弁論(下)】「被告はサドマゾヒズムではない」…検察主張をまっこう否定(産経新聞)
IV 藤家さんを刺す動機、傷つける動機はない
検察はSM行為の延長線上だとしています。鑑定医も木村さんはサドマゾヒズムと診断しています。しかし、この診断には疑問があります。
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診断材料は問診結果のみです。また、木村さんは「問診のとき、鑑定医にきちんと説明できたかは分からない」と言っています。また、鑑定医も初めから「この2人はSMをしていた」という考えを持っていた可能性があり、木村さんの話を理解していたかは不明です。
木村さんはサドマゾヒズムではありません。木村さんは、暴力を快感に感じていませんし、藤家さんの自虐行為を止めたこともあります。もっぱら暴力を受ける側だったのです。
V 事件当時の木村さんの精神状態
木村さんは意識もうろう状態にあり、責任能力はない状態でした。鑑定医は「犯行当時はせん妄状態だが、犯行時は意識清明で責任能力がある」としています。この診断では、
もうろう状態でナイフを握ることはできないということと、SM行為として了解可能ということを根拠にしていますが、本当にもうろう状態でナイフは握れないのでしょうか。もうろう状態で刃物を持ち、人を殺傷した事件はあります。また、鑑定医はせん妄に関する鑑定歴は1件しかありません。
木村さんはこれまで、藤家さんを何度となく救命しています。入院手続きをし、入院中も献身的に看護し、お酒も一緒にやめようと努力しました。
まず、藤家さんが死んでいるのを発見した時点で、1時間半前の記憶を失っています。意識が清明なら、この短時間で記憶がなくなるということはあるのでしょうか。
木村さんはサドマゾヒズムではなく、責任能力はありません。
VI 本件の凶器は何か
果物ナイフを凶器とする根拠は、(1)傷口とナイフの形状が一致している(2)ナイフの刃と柄から、藤家さんと木村さんのDNA反応が認められた(3)ナイフに藤家さんの着衣に似た繊維が付着していた−ということです。
しかし、ナイフから血液反応はなく、事件後に流し台の水につけていたとしても、そんなに早く消えるものなのでしょうか。
マンション台所には、はさみや文化包丁もありましたが、この文化包丁についても検査をしたのでしょうか。捜査機関は果物ナイフを凶器として決めつけ、他のものは検査をしていない。
凶器一つをとっても捜査はずさんです。
VII 藤家さんは重度の肝硬変だった
背中の傷は、普通の人であれば死なない傷でした。藤家さんは血小板が少なく、血液が固まりにくい体質ということもあり、死亡したのです。しかし、木村さんにとっての関心事は、こうした体質であることよりも、藤家さんの余命です。いつも切り傷を作っては、瞬間接着剤で血を止めていたこともあり、木村さんは、藤家さんの体質についての医師の説明をそこまで関心を持って聞いていなかったのです。
血が固まらず、すぐ死ぬとは思っていなかったのです。
傷害と死に因果関係はありません。
VIII 木村さんは無罪
検察の主張は、推論の一つでしかありません。弁護側があげた推論にも可能性があると、少しでも考えられるのであれば、検察の立証は不十分です。
「疑わしきは罰せず」の大原則に照らし、審議をしてください。
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