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2008年11月12日(水) 13時51分

【元Vシネ女優2回公判ライブ】(8)暴行後は「興奮なし」…鑑定医見解と食い違う発言産経新聞

 《女性弁護人は、木村衣里(えり)被告が藤家英樹さんから暴力を振るわれながらも、なぜその後のセックスを受け入れていたのか質問を続ける》

  ■写真&法廷ライブ■ 元Vシネ女優の傷害致死事件〜公判の全記録

 弁護人「暴力を振るわれた後、どうしてセックスを受け入れていたのですか?」

 衣里被告「暴力が終わってほっとした気持ちもあったし、『おれのほかに間男がいて、そいつとセックスしたから満たされているんだろ』と言われ、(暴力の)第2ラウンドが始まるかもしれなかったので怖かったのです。あと、彼が泣いているのを見て、不器用な愛情表現なのだと思いました」

 弁護人「あなたも(暴力の後の)セックスに性的興奮を覚えていたのですか?」

 衣里被告「ありません」

 《衣里被告は「そんなことあるわけない」と言いたげに、苦笑しながら否定した。女性精神鑑定医は前日の証人尋問で、衣里被告が「殴られて非常に痛いが、その後のセックスが非常に快感」と話していたと証言しており、内容が食い違う》

 弁護人「(入院後の)平成19年、20年に入ってからも暴力の後にセックスをしていたのですか?」

 衣里被告「入院してからは彼(藤家さんの性器)が、ほぼできない状況でした」

 《ここから、「藤家さんの自傷行為」に関する話に移った。弁護側は衣里被告に詳細を語らせることで、藤家さんの自傷行為が常軌を逸するものであったことをアピールしていく》

 弁護人「記憶がある範囲で結構ですので、藤家さんのけが(自傷行為)について、後で聞かされたことはありましたか?」

 衣里被告「事後報告されたことがあります。目と手のけがについてです」

 弁護人「内容を具体的に教えてください」

 衣里被告「手をけがしていたので聞いたら、『(衣里被告に暴力を振るった)この手が悪いので、ベルトのバックルに薬指を入れて逆側に引っ張った』と話していました」

 《聞くだけで痛々しい話だが、衣里被告は背筋を伸ばしたまま微動だにせず答え続ける》

 弁護人「どのようなけがでしたか?」

 衣里被告「靱帯(じんたい)を切っていました」

 弁護人「目のけがについてはどうですか」

 衣里被告「『携帯電話で自分の顔や目を殴り、衣里にも持たせて殴らせようとしたけど、ぐったりしていて持てないから、衣里の手の上から自分の手を握りしめ、目を殴らせた』と話していました」

 弁護人「どんなけがでしたか」

 衣里被告「目の玉を2、3針縫ったみたいです」

 弁護人「目と手のことだけなぜ覚えているのですか?」

 衣里被告「うろ覚えとかでもなく、すっぽりと記憶がなかったので、いくら誘導されてけがさせたとはいえ、とても悩みました。でも彼はうれしそうに『えりが(けがをした)右手になってくれる?」と聞いてきたので、『うん』と答えたら彼は『おあいこで許してくれるね』と話していた。うれしそうに話す彼が理解できず気味が悪かったので手と目の話は印象深く残っているのです」

 《ここから精神鑑定を受けたときの話に移った》

 弁護人「○○医師(鑑定医の実名)は日頃から、あなたが『SMをしていた』と証言していましたが、そのことについてはどう思いますか」

 衣里被告「暴力のすべてをSMプレイと表現していたことに違和感がありました。彼の愛情表現として受け入れていた部分は(SMと)違います」

 弁護人「○○医師にはどんな話をしたのですか」

 衣里被告「『どういう暴力を振るわれたのか、どういうときにどのようなセックスをするのかなどを区別して話してください』と聞かれました。私は整理して話すことができず、思いつくままに話してしまったので、(鑑定医にとってSMと単なる暴力が)一緒になってしまったようです」

 《ここから凶器とされる果物ナイフに関する質問が始まった》

 弁護人「彼はよく果物ナイフを使っていたのですか」

 衣里被告「料理好きなのでフルーツナイフは好きで、孫の手やつまようじ代わりにも使っていました。虫歯の時にナイフをあぶって奥歯を抜こうとし、先端が折れてしまったことがあり、(新しく)買ってきたのが今の(検察側が凶器と指摘する)ナイフです。日常的に使っていました」

 弁護人「そのとき藤家さんは痛がっていましたか?」

 衣里被告「そういうイメージは残っていないです」

 弁護人「藤家さんは右利きと左利きどちらですか」

 衣里被告「(藤家さんは)『AB型、双子座、両利きの天才肌だ』と豪語していました」

 弁護人「あなたはどちらが利き手ですか」

 衣里被告「右です」

 《弁護側は藤家さんが普段から果物ナイフを愛用していたことをアピールした構えだ》

 《質問者は女性弁護人から男性弁護人に変わった》

 弁護人「あなたの家で、藤家さんのものを洗濯することはありましたか」

 衣里被告「彼の家には洗濯機がないので、(衣里被告の)家でしていました」

 弁護人「事件当日、藤家さんは左手に紙袋を持っていましたが、あれは何ですか」

 衣里被告「(紙袋の中身は)普段着、Tシャツ、パンツ、パジャマです。いつでも(藤家さんの自宅に)持って帰れるよう、私が洗濯していました」

 《弁護人は最後に、「なぜ暴力を振るわれ続けたのに別れなかったのか?」という、質問を再度ぶつけた》

 衣里被告「彼はもともとプライドが高いがゆえに、傷つきやすく、弱く、不器用でした。私は、(藤家さんが)暴力を振るう理由や気持ちを一生懸命理解しようとし、私への愛情表現と受け止めていました。暴力で別れようと思ったことはありません」

 《衣里被告は「別れようと思ったことはない」といった部分で語気を強め、藤家さんの暴力行為を恨んでいないことを強調した。衣里被告に藤家さんを殺す動機がないという点をアピールしたいようだ》

 《11時42分、弁護人による主尋問が終了して休廷した。法廷は午後1時半から再開する。検察官による反対尋問が1時間ほど予定されている》

    =(9)に続く

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