2008年11月11日(火) 01時18分
<AIG>純損失2兆4200億円 保険会社に初の資本注入(毎日新聞)
【ワシントン斉藤信宏】経営危機に陥り実質的な公的管理下に置かれた米保険最大手AIGが10日発表した08年7〜9月期決算は、純損失が244億6800万ドル(約2兆4200億円)の大幅赤字となった。米財務省と連邦準備制度理事会(FRB)は、損失拡大に対処するため保険会社としては初の公的資金による400億ドルの資本注入を実施すると発表。同社への支援は不良資産の売却支援や特別融資など総額1500億ドル規模に膨らむことになった。
AIGが事実上の公的管理下に置かれてから2カ月足らずで、支援規模は1.5倍以上に膨張。金融危機の深刻化に伴う悪影響の大きさが改めて浮き彫りになった。米政府はこれまで、金融安定化法に基づく資本注入の対象を銀行などに限定して実施してきたが、対象を保険会社に拡大。AIGへの支援はその1例目となる。米政府が今春に実施した所得税の還付減税に匹敵する規模にまで支援額が膨らんだことで、政府への批判が一段と強まりそうだ。
新たな支援策は、400億ドルで優先株を購入するほか、不良資産の買い取りなどに約500億ドル、資金繰りを支援するための特別融資の形で600億ドルを拠出する。9月の段階で米財務省は850億ドルの公的支援枠を設定していたが、資本注入の実施にあたり、融資は600億ドルに圧縮。また、融資の返済期限はこれまでの2年から5年に延長し、金利水準も年10%から大幅に引き下げる方針。
資本注入の対象を拡大したことで、今後、自動車業界などからも対象拡大を求める声が強まりそうだ。
AIGは7〜9月期決算で、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に絡む損失を約180億ドル、金融派生商品(デリバティブ)関連でも75億ドル余りの損失を計上した。
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