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2008年11月11日(火) 19時12分

書店のレイアウト変更は何を物語るのかOh! MyLife

 休日になると書店めぐりをする。

 鹿嶋(茨城県)に移って10カ月。書店、古本屋の少なさを嘆いているが、それにも増して最近の書店のレイアウトの変化に戸惑いというか、疑問を強く感じる。

 漫画、劇画のコーナーが激しく増殖しているのだ。そしてケータイサイトで始まり、アクセスの多かった作品が、文庫本になって店頭に並んでいる。これらの本の占有スペースがどんどん広がっているのである。

 それまでは、せいぜいひとつのコーナーであったり、新作の平積みスペースに並べられている程度だったものが、本棚一列を占領するようになってきている。漫画の文庫サイズにいたっては、今までの文庫本を押しやるまでになり、新書版は、ついに縮小の一途をたどっている。

 情報を得る手段として、最近はインターネットを当たり前に活用するようになったが、それでも、ちょっと範囲を広げてみてみたいとか、掘り下げてみたいとかを考えたときには、専門書、専門雑誌、入門書、ハウツー本、その分野のハードカバー、新書、文庫、といったところを漁ることになる。

 それが、情けないくらいに縮小されてきているのである。

 もちろん、漫画を否定するものではないし、ケータイ作品の文庫化を否定するものでもない。表現の自由が広がる手段として、安価に出版できるものであればあるほど、読者の選択肢が広がることとして認められるべきであろう。

 そのようなコーナーの本を買って読んだことがないので、あまり評価することはできないが、ぱらぱらとめくってみた範囲ではあるが、どうもなじめないというか、中身が薄く思われてならない。結局ほとんどの作品はさほど長くない時間のうちに淘汰されるものなのであろう。

 気がかりな現象は占有スペースだけでなく、もうひとつ起きている。

 ビニールで包装されている、またはビニール紐で十字に縛られている本が増えていることだ。

 その昔は、ビニール包装はエロ本、紐で十字がけされた本は、本体よりも付録を売りたいもの、と相場が決まっていた(今でもそうかも知れないが)。

 最近の店頭は、漫画はほとんどビニールがけ、雑誌はこれまたほとんど、十字がけの状態である。先に述べた棚を占拠中の漫画本の類は、必ず(といってよいほど)ビニールがけされている。

 万引き被害があまりにもひどく、閉店に追い込まれる書店が相次いでいるとテレビで報道されていた。立ち読み防止策だけでなく、万引き防止策としてビニールがけ、十文字がけが広がっているのだろうか……。

 ビニールがけしないと、立ち読みで商品価値がなくなってしまう、十文字がけしないと付録がばらばらになり、これまた商品価値が失われる、ということなのだろうが、もうすこしスマートな対策はないものだろうか。

 読んでほしいという意図と見てほしくないという意図とが錯綜しているようで、不思議な気分にさせられている。

 知識や情報を提供すべき書店が閉鎖的にならざるを得ない。公徳心が失われている、といわれる世の中では、商売としては当然の判断なのだろうが、やりきれなさを感ずる。

 ゲーム、DVDなどの洪水のような氾濫にややもすると押し流されてしまいそうな活字情報伝達手段=本。主流の座からすべり落ち、副次的な存在にならざるを得ないにしても、もう少し考えてみたいものである。

(記者:松永 息遊)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081111-00000000-omn-l08