大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)など淀川水系の4ダム建設を明記した国の河川整備計画案をめぐり、三重、滋賀、京都、大阪の四府県知事は11日、和歌山市内で共同意見を表明した。大戸川ダムについては、一定の効果を認めつつも建設の優先度は高くないと判断、今後30年の整備方針を示す計画に「位置付ける必要はない」と、事実上の「建設中止」を求めた。
ダム建設で、上流、下流の自治体が共同で反対を表明するのは初めて。知事からの意見聴取を国に義務付けた河川法に基づく意見で、法的拘束力はないが、国が大戸川ダムを計画に盛り込むのは極めて困難となった。
九月に熊本県の蒲島郁夫知事が川辺川ダム建設に反対を表明したのに続き、河川行政が見直しを迫られるのは必至。各地の「脱ダム」の動きにも影響しそうだ。滋賀県が手続き上必要な議会の同意を得た後、12月に正式な意見を国に伝える見通し。
大戸川ダムについては、建設予定地を抱える滋賀県の嘉田由紀子知事と、下流域の京都府の山田啓二知事、大阪府の橋下徹知事が主導して対応を検討。「脱ダム」を掲げて当選した嘉田知事と、専門家検討会から「緊急性は低い」との報告を受けた山田知事、過度な財政負担を減らしたい橋下知事が対立する利害を乗り越え一致した。
意見は「河川改修は、優先順位を明確にし、さまざまな対策を複合的に進めることが重要」と指摘した。山田知事は記者会見で「地域の現実を踏まえた意見。地方自治のレベルを示せた」と強調。既存ダムを活用し、河川改修を進めることで治水安全度は確保できるとの見方を示した。
三重県の野呂昭彦知事(副知事が代理出席)も含めた4知事が11日、和歌山市内のホテルで、近畿ブロック知事会議に先立って協議、最終合意した。
共同意見ではほかの3ダムのうち、京都府の天ケ瀬ダム再開発と、三重県の川上ダムは計画に盛り込むことを容認。滋賀県北部の丹生ダムは「事業計画や事業費が明らかにされていない」として判断を留保した。
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