2008年11月11日(火) 15時06分
【元Vシネ女優初公判ライブ】(10)元女優、カレの「余命1年」宣告にケロリ…傷の写真にも無反応(産経新聞)
《午後1時15分、法廷が再開した。午前に引き続き、検察官が証拠について説明する。男性検察官が死亡した藤家英樹さんの主治医の供述調書を読み上げる》
検察官「甲7号証です。消化器内科が専門ということです。モニターをごらんください」
■写真&法廷ライブ■ 元Vシネ女優の傷害致死事件〜初公判全記録
《法廷の大型モニターに、藤家さんの入院診療記録が表示された。藤家さんは肝硬変のため、平成19年10月9日から24日まで入院。肝硬変は末期症状だったとみられ、検察側は冒頭陳述で藤家さんの死因について、「木村衣里被告の刺した傷と既往症が相まって死亡した」と指摘している。主治医は当時の病状について、検察官にこう話したという》
検察官「藤家さんはアルコール性肝硬変の末期で回復の望みはなく、徐々に悪くなるという状況でした。採血データは末期症状の状態で、余命は飲酒をやめてもせいぜい5年程度。やめなければ1年でした。さらに、動脈瘤(りゅう)などで直ちに死亡する可能性もありました」
《主治医によれば、血液を固める働きのある血中血小板の数が健康な人が20万〜30万あるのに対し、藤家さんは入院時に2・9万、退院時でも9・8万しかなかったという》
検察官「藤家さんの数値は極端に少ないわけです。この数値から、藤家さんの体質は出血しやすく、いったん出血すると止まりにくいといえるわけです。退院後に飲酒していれば、退院時よりもよけいに出血しやすくなっていたと思います」
《主治医はこうした症状について藤家さんの姉に説明。その後、藤家さんから「一緒に住んでいる仲だから」と、衣里被告にも説明するよう求められたという。検察官は主治医の供述を引用した》
検察官「『藤家さんは肝硬変で、末期の状態です。退院後も酒を飲み続ければ余命は1年あるかどうか。ガンもできやすく、出血しやすい体質です。退院後も酒は飲ませないように』と説明しました」
《藤家さんと長年支え合っていたという衣里被告は、この宣告をどのように受け止めたのだろうか。主治医は当時の様子をこう振り返る》
検察官「『この際、木村さん(衣里被告)からは特に何の質問もありませんでした。取り乱したりすることもなく、いつも通りケロっとしていたという記憶があります』…」
《ここで別の男性検察官に交代。衣里被告の部屋やマンション周辺から見つかった血痕の鑑定書について、説明した》
検察官「マンション1階のエントランス床、エレベーターの床、被告宅内部から採取したものには、すべて人血の混在が認められました。エントランス床、エレベーター床のものは藤家さんのDNA型とぴったり一致。被告宅内部のものは、藤家さんの血液型と同じAB型でした。唾液(だえき)の混在は、エントランス床、エレベーター床には認められましたが、ベッドからは認められませんでした」
《「部屋内部以外の血痕は、藤家さんが病気により吐血したもの」とする検察側の主張を裏付ける証拠だ》
《ここで女性検察官に交代し、遺体の司法解剖を担当した医師の報告書を取り出した》
検察官「死因は、左背部刺切創による肺損傷に起因する失血性ショックです。創傷は左背部を貫通しており、比較的ゆっくりとした出血が続いて失血性ショックになったものとみられます」
《次に裁判長が、衣里被告に証言台へ座るよう指示。衣里被告は小さくうなずくようにして、ゆっくり移動した。どうやら遺体の写真が、証言台に設置された小型モニターに表示されるようだ》
検察官「左背部に長さ2・2センチ、幅0・9センチのほぼ水平方向の傷が認められます」
《証言台のモニターの写真は頻繁に切り替わっているが、どんな写真か傍聴席からは見ることができない》
検察官「傷をくっつけた際の、長さは2・4センチでした」
《衣里被告は事件直後、自ら刺した藤家さんの背中の傷を瞬間接着剤で塞ごうとしていた、とされる。混乱していたのか、止血しようとしていたのかは不明だが、この動機についても注目が集まっている》
検察官「肺の中には、2・5センチにわたる貫通創が認められます」
《果物ナイフを藤家さんの背中に深々と突き刺した瞬間を思いだしているのだろうか。愛した人の変わり果てた姿が映っているだろう画面に、衣里被告はじっと見入ったままだ》
=(11)に続く
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