冬を前に、中国山地沿いの自治体が除雪への対応に苦慮している。かつては土建業者の地域貢献の側面もあったが、公共事業の縮減で疲弊し、倒産や除雪機械の売却が相次ぐ。財政難の中、自治体が機材を準備するケースもある。大雪に見舞われた場合、住民生活への影響も懸念されている。
スキー場が集まる広島県北広島町では今年、3業者が倒産・廃業した。町は町道と一部県道の除雪を請け負う46業者に担当区域の拡充を依頼。加えて約100万円で除雪機1台をリースしてしのぐが、「除雪が遅れる可能性も」と気をもむ。
車検や道路の許可申請、維持管理費…。除雪に必要な業者の負担は軽くない。町によると、最近は業績悪化で機械を手放したり、更新を見送る業者が増え、除雪機の絶対数が不足している。「仕事が激減し、除雪機を売って金にした」とある業者。除雪から手を引くことも考えたが「これまで続けた地域貢献だから」。この冬は借りて続けるという。
雪の深い高野地区などを抱える庄原市も除雪できる業者はこの冬、7社減。広島県境を越えた島根県邑南町や益田市も「まったく同じ状況で四苦八苦している」という。
【写真説明】2005年12月の大雪で除雪作業をする業者。担い手の減少で、各自治体は対応に苦慮している(広島県安芸太田町)