2008年11月09日(日) 08時02分
【Re:社会部】「国策捜査」に違和感(産経新聞)
選挙と、刑事事件の捜査。無関係なはずのこの2つの関係を疑いたくなる出来事が今、起きています。社会保険庁の職員が無許可で組合活動に従事していた「ヤミ専従」問題をめぐる動きです。
この問題で桝添要一厚労相が専門家による調査委員会を設置したのは今年7月でした。調査の中心は、東京地検特捜部に在籍した元検事ら捜査のプロたちです。
大臣側が当初考えたのは、ヤミ専従をしていた職員らは、国から給与をだまし取ったのだから、詐欺罪で告発すべき、との報告書を得ることだったようです。
ヤミ専従の慣行で実質利益を得たのは労組であり、その組織的な違法行為が事件として捜査される事態になれば、総選挙を控えた自民党に追い風となったでしょう。
ですが、今月4日に公表された調査委の報告書は、大臣側の思惑と違ったようです。職員らの上司がこの慣行を黙認していたので、詐欺罪は成立しないと指摘し、上司らの背任罪について検討した結果、損害金が賠償済みであることなどから、告発には消極的な意見を付記しています。
捜査のプロたちは、刑事事件化になじまないと判断したと読み取れます。しかし、大臣はあくまで告発する考えを述べています。
ヤミ専従は許しがたい問題ですが、選挙のために「国策捜査」を強引に進めるとしたら、違和感を覚えます。(健)
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