富士山の世界遺産登録への機運を盛り上げるため、静岡、山梨両県などは9日、登録への課題を探るシンポジウムを静岡県富士市で開いた。世界遺産委員会で議長経験があるモントリオール大(カナダ)のクリスティーナ・カメロン教授は「登録後の長期的な保存の方策を(委員会に)示すことが重要」などと話した。
カメロン教授ら専門家3人が討論し、約300人が参加した。バーモント大(米国)のノーラ・ミッチェル客員准教授は「ほかの世界遺産と比較した上で、富士山がどういう普遍的価値を持つのかを示すことが大事」と指摘した。
今年は富士山に過去最多の登山者が訪れたことに触れ、カメロン教授は「行政と宗教関係者が協力して環境保全に努めるだけでなく、観光業者ら関係者の管理の仕方も示すべきだ」とした。
「紀伊山地の霊場と参詣道」の2004年の世界遺産登録に尽力した金峰山修験本宗宗務総長田中利典さんは「日本人が持つ山への美的、宗教的な尊敬の念が富士山に象徴されていることを自覚すべきだ」と述べた。