日本企業による海外企業のM&A(合併・買収、出資を含む)総額は、今年一—十月の累計で約六兆六千七百億円と前年同期の約三・七倍に達し過去最高となったことが、M&A調査・仲介会社レコフの調べで八日までに分かった。
米国発の金融危機で企業買収の主役を演じてきた欧米の投資ファンドなどが戦線を縮小する中、世界的な株安や円高進行を追い風に、日本企業が海外企業への買収攻勢を強めている。
国内製造業は海外景気の悪化による打撃を受けているが、資源高で潤う大手商社は「絶好のチャンス」(丸紅の
レコフによると、海外企業へのM&Aで年間ベースの過去最高額は、二〇〇六年の約八兆六千百億円だが、今年は一—十月で〇六年を上回っている。今年最大の案件は、三菱UFJフィナンシャル・グループによる米証券大手モルガン・スタンレーへの出資(約九千億円)、二位は武田薬品工業の米バイオ医薬品会社買収(約八千九百億円)だった。
海外勢が資金調達に苦しむ一方で、住友商事は現預金と銀行からの融資枠で計約一兆円の資金を利用できるという。
金融危機を受けて企業買収は、投資目的のマネーゲームから事業の生き残りが主眼となっており「実業を抱えている日本の商社の役割が高まる」(三井物産の
国内市場の縮小を見越して、食品メーカーも海外企業を相次いで買収。サントリーはM&Aの専門部署を設置し、第一号案件としてニュージーランドの清涼飲料大手を約七百五十億円で買収することを決めた。大和総研の