【北京8日共同】北朝鮮が六カ国協議の合意に基づく寧辺核施設での無能力化作業のうち、中心となる実験用黒鉛減速炉からの核燃料棒抜き取り作業を一週間ほど前から再びペースダウンさせていることが八日、分かった。複数の六カ国協議筋が明らかにした。
核計画申告に対する検証議定書づくりが焦点となる次回の六カ国協議首席代表会合で、北朝鮮は無能力化の見返りとなる重油やエネルギー設備、資材提供などの経済的補償に関する今後の日程も明文化するよう求めている。今回の措置は、厳密な検証案づくりを求める動きをけん制するとともに、エネルギー提供の日程明文化を参加国に促す狙いがあるとみられる。さらに、オバマ米次期政権との交渉に備える思惑もありそうだ。
同筋によると、燃料棒抜き取り作業は、これまでも経済的補償の遅れを理由に昨年末から何度かペースダウン。米国が北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除を延期した八月半ばに中断された後、十月十一日に米国がようやく指定解除した直後から一日三十本のペースで再開されたが、一週間ほど前からほぼ半減となる十五本前後になった。
理由について北朝鮮側は、核施設無能力化の見返りとなる重油などのエネルギー提供が遅れていることを挙げているという。
別の協議筋は、次回首席代表会合で核検証方法とエネルギー提供の日程の二つが文書化できれば「抜き取り作業は再び加速する」として北朝鮮の措置に深刻な受け止めは示していないが、加速しても抜き取り作業を来年一月下旬までのブッシュ政権の任期内に完了させるのは、極めて難しい状況となっている。