大阪・梅田で会社員
吉田容疑者は鈴木さんを引きずっている間、車から降りたりバックミラーで状況を確認したりせずに走ったといい、捜査本部は執行猶予を取り消されることを恐れ、逃走を急いだとみている。
犯行に使われたとされる乗用車は事件後に洗われた形跡がないことも判明。捜査本部は、証拠隠滅を図る間もなく行方をくらました可能性があるとみている。同日、殺人と自動車運転過失傷害、道交法違反(無免許運転)の疑いで送検した。
捜査本部によると、吉田容疑者は二〇〇六年十月、交通事故を装い保険金をだまし取ったとして熊本県警に逮捕され、昨年一月、熊本地裁で懲役二年、執行猶予三年の有罪判決を受けた。
これまでの調べに「無免許で飲酒運転だった。警察に捕まると困るので、何が何でも逃げなければならないと思った」と供述。さらに、執行猶予中だったこともひき逃げの理由に挙げたという。
捜査本部によると、吉田容疑者は熊本県出身で同県内の高校を卒業後、道路工事会社に就職。その後、建設会社でとび職として半年働いた。保険金詐欺事件は建設会社勤務時に起こした。
その後、〇五年九月ごろから、今回の事件発生時に勤めていた大阪市此花区の建築会社で働き始めた。大阪に来てから保険金詐欺事件で逮捕され有罪判決を受けたが、社長は解雇などの処分はせず、雇い続けたという。
調べなどでは、乗用車は社長の所有で主に吉田容疑者が乗っていた。捜査員が一日、建築会社近くの駐車場で発見。車体底部には血痕や衣服の繊維痕が残されていた。
吉田容疑者は事件当日の十月二十一日から無断欠勤。数日後に会社関係者が自宅アパートを訪ねた際には家財道具がなくなっていた。