田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長(60)が、昭和戦争などに関して投稿した懸賞論文の内容を巡って更迭され、3日付で定年退職となった問題で、懸賞論文のテーマである「真の近現代史観」が、空自第6航空団(石川県小松市)での幹部教育のための論文のテーマにも採用されていたことが6日、明らかになった。
第6航空団のある小松基地は同一テーマになった理由について「航空幕僚監部から紹介された」としている。防衛省では、経緯を調べるとともに、空自隊員78人が懸賞論文に応募したことについて、田母神氏の要請がなかったかどうかも調べる方針。
懸賞論文は、ホテル・マンション経営のアパグループ(東京都港区)が募集した。防衛省によると、5月に応募が始まり、空幕教育課が同月20日、「自己研さんのため」(空幕広報室)として、全国の部隊に応募要領をファクスしていた。
全部隊に応募要領を通知するには空幕上層部の決裁が必要だが、今回、田母神氏の決裁を受けていたかどうかは調査中という。
懸賞論文に応募した空自隊員78人のうち小松基地の隊員が62人を占めた。隊員は、幹部論文として執筆後に、同様のものを懸賞論文に出していた。同基地では以前、田母神氏が基地司令だったことがあり、アパグループの代表である元谷外志雄氏は「小松基地金沢友の会」の会長を務める。
同省では、論文のテーマ選考に際し、田母神氏と元谷氏の意向が反映された可能性もあるとみて調査を進めている。
小松基地は「懸賞論文に応募することは問題はないと考えている」としている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081107-OYT1T00013.htm