世界遺産の島、宮島の玄関口となる廿日市市宮島口で10月14日に起きた硫化水素を使った強盗殺人未遂容疑事件。容疑者の会社社長は4日再逮捕されたが、無関係な第三者を巻き込む可能性もある危険な犯行に、現場となったマンション周辺の住民や商店主からは、驚きと怒りの声が上がった。
現場一帯は、宮島との間を結ぶフェリー桟橋や土産店、ホテルなどがあり、年間300万人を超える観光客が行き交う。全国で多発する硫化水素自殺が近隣住民を巻き添えにしたケースもあり、発生時、ホテルの宿泊客など約170人が一時避難した。
近くの陶芸品店従業員女性(67)は「当日は家族で朝早くから避難した。事件だと知り、ショックです」と口をつぐむ。
観光地のイメージダウンを懸念する声も多い。午前中の発送や注文をキャンセルした近くのもみじまんじゅう店の男性経営者(61)は「治安が悪いイメージを持たれなければいいが」と心を痛める。
【写真説明】10月14日に硫化水素の発生で騒然となった宮島口のフェリー乗り場。秋の観光シーズン、毎日、観光客でにぎわっている