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2008年11月05日(水) 07時01分

小室容疑者独居房へ…転落人生に追い打ちスポーツニッポン

 大阪地検特捜部は4日、806曲の音楽著作権を譲渡すると偽り、兵庫県の投資家の男性から5億円をだまし取ったとして、詐欺容疑で音楽プロデューサー小室哲哉容疑者(49)ら3人を逮捕、東京都港区の自宅兼事務所など関係先を家宅捜索した。小室容疑者は投資家との交渉過程で「これでも名の知れた男。逃げも隠れもしない」などと説得して信用させていた。一時代を築いた「90年代の寵(ちょう)児」の久しぶりの話題は自らの逮捕だった。

 逮捕されたのは、小室容疑者のほか、小室容疑者が役員を務めるプロダクション「トライバルキックス」(東京)の代表取締役平根昭彦(45)、監査役木村隆(56)の両容疑者。

 調べによると、小室容疑者らは06年8月、これまでの作品806曲分の著作権について、もともと音楽出版社に譲渡し、うち主要12曲はトライバル社にも二重譲渡するなどしていたのに、「過去の作品806曲がフルセットになっていることに意味があるし価値が出る」「全部僕に著作権があります」などとうそを言って、10億円で売却する契約を兵庫県芦屋市の投資家男性と締結。さらに、前妻で歌手の吉田麻美(33)に印税収入を差し押さえられているが、「差し押さえ解除のために早急に5億円を先払いしてほしい」などと言い、解除する意思がないのに解除代金として計5億円を支払わせ、だまし取った疑い。小室容疑者は投資家との交渉過程で「これでも名の知れた男。逃げも隠れもしない」と説得し、自ら作った曲を「世界で1つの曲」とCDにしてプレゼントしたという。

 小室容疑者はこの5カ月前の同3月、かつて仕手戦の舞台となった投資・建設事業持ち株会社「A・Cホールディングス」(東京、旧南野建設)から著作権を担保に3億円を受領。月利5%の高利融資だった。この借金返済のため著作権の譲渡先を探していたという。

 だまし取った5億円のうち約3億4000万円は融資の返済に充当。1億5000万円は小室容疑者の滞納家賃などを肩代わりした木村容疑者に支払われ、残りの約1000万円はほかの借金返済などに充てられた。小室容疑者は調べに「3人でやったことに間違いない。申し開きすることはない。反省し被害者に謝罪したい。刑事責任を潔く取るつもりだ」と供述しているという。

 白のTシャツに黒のパーカ姿の小室容疑者は4日午前7時50分ごろ、大阪市内のホテルで任意同行を求められ、約20分後にワンボックス車で大阪地検に到着。やつれた様子で、目にはうっすら涙も浮かんでいた。車内ではさかんに髪をいじり、悔しそうに唇をかんだ。

 事業の失敗や吉田への離婚慰謝料などの支払いで10数億円の借金を抱えていたとされるが、宿泊していたのはホテルの最上階のスイートルームだった。

 同11時35分には、大阪地検から再度車に乗せられ、大阪拘置所に身柄を移された。絶頂期にはフェラーリなど高級車を乗り回し、海外に多くの別荘を持っていた小室容疑者。しばらくの間、4畳ほどの広さに畳が3枚敷かれ、ついたての奥に便器と洗面台があるだけの独居房に拘置されるとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081105-00000045-spn-ent