一九九〇年代に数々のヒット曲を生み出した
小室容疑者が役員を務めるプロダクション「トライバルキックス」(東京)の役員二人も譲渡契約にかかわっており、事情聴取。特捜部は、東京都港区の小室容疑者の自宅や事務所など関係先を家宅捜索した。
小室容疑者は近年、事業の失敗や離婚の慰謝料支払いで多額の借金を抱えていた。詐取した五億円のうち一億五千万円は、小室容疑者の家賃滞納などの借金を肩代わりしたト社の役員(56)に、約三億五千万円も融資金の返済に充てられたという。
関係者によると、小室容疑者らは二〇〇六年八月、八百六曲分の著作権について、音楽出版社と契約していて譲渡できないのに、譲渡権限があるように偽り、十億円で売却する契約を兵庫県芦屋市の投資家男性と締結。代金の一部として五億円を受け取り、だまし取った疑いが持たれている。
また、著作権の使用に伴う印税収入の権利についても、離婚慰謝料の不払いで前妻から差し押さえられていた。
この五億円の支払いをめぐり、小室容疑者と投資家は民事訴訟で争ったが、〇八年七月、小室容疑者が六億円を支払うことで和解。しかし、解決金は期日までに支払われず、投資家が小室容疑者を大阪地検に告訴した。
小室容疑者は一九八四年、バンド「TMネットワーク」でデビュー。九〇年代には、音楽プロデューサーとして、
【写真説明】<左>大阪地検に向かう小室哲哉容疑者=4日午前8時9分、大阪市北区<右>大勢の報道陣に囲まれ、大阪地検に入る小室哲哉容疑者(車内奥)を乗せた車両=4日午前8時10分、大阪市福島区