2008年11月04日(火) 10時49分
小室哲哉容疑者 5億円詐欺で逮捕…容疑認める 大阪地検(毎日新聞)
楽曲の著作権を譲渡すると偽り、兵庫県内の投資家の男性から5億円をだまし取ったとして、大阪地検特捜部は4日、音楽プロデューサーの小室哲哉容疑者(49)と取引の関係者2人の計3人を詐欺容疑で逮捕した。特捜部は、小室容疑者が「音楽配信ビジネスをしたい」という男性の意向につけこみ、事業失敗などによる借金返済のために著作権譲渡を持ちかけたとみており、取引の経緯などを調べている。
他に逮捕されたのは、小室容疑者が役員を務めるイベント企画会社「トライバルキックス」社長、平根昭彦(45)=東京都港区▽広告会社の実質経営者、木村隆(56)=同中野区=の両容疑者。3人とも容疑を認め、小室容疑者は「弁解することはない。被害者には大変申し訳ないことをして深く反省している。刑事責任を取る覚悟はあり、被害弁償をしたい」と供述しているという。
特捜部によると、小室容疑者らは共謀し、06年7月末、日本音楽著作権協会に小室容疑者が作詞・作曲家として登録していた全楽曲806曲の著作権を10億円で譲渡すると男性に提案。「元妻からの差し押さえ解除のために前払い金が必要」とうそをつき、翌8月9日と29日、計5億円を振り込ませ、だまし取った疑い。
取引関係者によると、小室容疑者は木村容疑者の紹介で男性と知り合った。男性から「音楽配信をやりたい」との意向を聞き、インターネットなどを使った新たな音楽ビジネスを話し合った際、著作権譲渡を持ちかけた。実際には、著作権は既に音楽出版社に譲渡していたが、小室容疑者は「著作権はすべて僕にあります」とだましていた。民事訴訟での和解を経ても小室容疑者が返金しなかったため、男性が大阪地検に刑事告訴した。
男性が振り込んだ5億円は、木村容疑者を介し、06年8月末、小室容疑者の資金管理をしていたトライバルキックスの口座に入った。平根容疑者は即日、小室容疑者の借金返済のため、1億5000万円を木村容疑者に、約3億4400万円を東京都内の事業会社に返済したという。
特捜部は4日朝、小室容疑者を大阪市内のホテルから任意同行。東京都港区の自宅や所属事務所を捜索し、資金の流れについても調べる。
小室容疑者は90年代にTRFや安室奈美恵さんらをプロデュースして次々にヒット曲を生み出したが、00年ごろからは人気が低迷し、海外進出に失敗するなどして多額の負債を背負っていた。【藤田剛、林田七恵】
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