来日中のチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ十四世(73)は三日、都内の日本外国特派員協会で記者会見し、自らが推進してきた中国との対話路線がチベットに前向きな変化をもたらさなかったため、「チベット人の間で批判が高まっている」と述べた。
このため「チベットの民衆に(今後の方針を)尋ねる以外、選択肢はない」として、対話継続の是非などを亡命チベット人の代表らで協議する緊急会議を十七日から亡命政府のあるインド北部ダラムサラで開くことになった。会議には独立急進派団体も参加する。
緊急会議は二十二日までの予定で、今月末には日本、米国やオーストラリアなどから支持者を集めた会合もニューデリーで開き、助言を求める。
ダライ・ラマは一九八八年に、チベットの中国からの独立ではなく「高度の自治」を求める「中道のアプローチ」を国際社会に宣言。その後の中国側との対話の過程で「チベットは独立を求めていない」と中国当局者が理解を示したこともあったが、中国政府は「ダライ・ラマは分裂主義」との立場を変えず、昨年の六回目の対話から中国側の姿勢が強硬になった。
チベット暴動が起きた今年は、七月の対話でも全く進展がなかったことなどから、ダライ・ラマは「中国政府に対する信頼は薄れてきている」と失望感を表明した。
チベットの状況については、言語などの「中国化」で「ある種の文化的ジェノサイド(抹殺)」が進んでいると非難した。(共同)