国土交通省は二日、利根川や木曽川など全国七水系を対象に、安全でおいしい水の供給や渇水時の水の融通など水に関するすべての問題について、流域の自治体が国と協力し総合的に管理する新計画をつくる方針を決めた。水需要予測に基づくダム建設に力点を置いた水資源開発基本計画を抜本的に見直す。
新計画の効果が上がれば国交省は、全国の河川でも同様な計画を策定できるかどうか検討する考えだ。二〇一〇年度までに開発計画の内容を定めた水資源開発促進法を改正する。
現在の開発計画は、水道水や工業用水の需要予測に基づき、必要なダム建設などを定めている。しかし、下水処理場の排水口の下流に浄水場の取水口があるなど水質面での課題が多く、渇水時に水をどう確保するかなどの取り組みも不十分だ。
このため新計画となる「水資源管理基本計画」は、十—十五年後を目標にして、ダム建設計画に加えておいしい水に必要な水質の改善の目標、排水・取水場所の見直しや下水道整備、河川浄化など目標達成に向けた対策などを盛り込む。
渇水では、流域の渇水対策協議会などの経験を生かし、農業用水の水道水への一時融通や取水制限などの在り方を利水者の間であらかじめ決定。企業や住民の節水、地下水など代替水源からの取水など緊急対応も示す。
このほか河川に毒を流すようなテロや地震などが起きた際の安全な水の供給を含めた危機管理の方針、渇水時や緊急時の地下水や雨水、下水再生水の利用方針、過疎や高齢化が進む上流部にある水源地域の保全策も定めることにしている。
また新計画は、国が知事の意見を聞き決める現行方式から流域の自治体、国の出先機関、利水者の代表などがつくる流域協議会が素案を策定する方式に変更、自治体の意見を反映しやすくする。