パナソニックが、来春をめどに三洋電機を子会社化することで、両社首脳が大筋合意したことが二日、明らかになった。パナソニックは完全子会社化も視野に入れている。国内電機メーカー同士の初の大型再編がほぼ確実となった。今週後半にも正式発表する。
パナソニックは連休明けにも三洋の資産査定に着手。普通株に換算して発行済み株式の約七割に相当する優先株を保有する、米金融大手ゴールドマン・サックスグループなど金融三社と価格交渉を本格化させる。
パナソニックによる三洋の子会社化の方向性が固まったことで、売上高の単純合算で十一兆円を超える国内電機最大の企業グループが誕生し、電機業界の勢力図が大きく塗り変わる。激しい国際競争での生き残りを懸けた再編の動きに一段と弾みがつきそうだ。
パナソニックは、三洋株の株式公開買い付け(TOB)を実施する方針で、金融三社以外が保有する株式もすべて取得し、完全子会社にしたい考え。より一体的な経営ができることから、事業面で相乗効果が出しやすいと判断したとみられる。
複数の関係者によると、両社首脳がこれまでに数度会談し、パナソニックが三洋の経営の自主性を尊重することで合意。三洋の社名やブランドを残すことや、約十万人の従業員の雇用は維持する方向で協議を進める見通し。
金融三社が三洋株を取得した価格は、普通株に換算すると一株当たり七十円。一方、三洋株の時価は百四十五円(先週末の東証終値)で、今後の価格交渉では三洋の企業価値をどう算定するかが焦点となる。ただ、金融三社の一部は三洋株の高値での売却を主張しており、パナソニックとの交渉は難航も予想される。