経営が行き詰まった中小企業に代わって、全国の信用保証協会が金融機関に債務を返済する「代位弁済」が、九月までの本年度上期で前年同期比27%増の計四千八百六十四億円と、半期では二〇〇三年度下期以来の高水準に達したことが一日、全国信用保証協会連合会のまとめで分かった。
件数も四年ぶりに五万件を突破。信用保証協会は各都道府県と五市に設けられており、米国のサブプライム住宅ローン問題などによる国内景気の冷え込みや、原油・原材料価格高騰が、全国の中小企業に深刻な影響を及ぼしていることが浮き彫りになった。
連合会は「景気低迷が長引けば、弁済がさらに増える可能性がある」と指摘。下期に不況が深刻化すれば、年間弁済額が過去最悪だった〇二年度の一兆二千六百四億円に迫る恐れも出ている。
弁済額の増加率が全国最大だったのは栃木県で、前年同期比81%増の六十七億円。個別に弁済額を公表している協会の中では、北海道が67%増(百五十五億円)、奈良が63%増(七十三億円)で、いずれも上期としては過去最高額だった。滋賀県(四十四億円)、宮崎県(二十二億円)も60%台の増加。東京都は49%増の八百二十三億円だった。
連合会によると、建設、不動産、運送業、サービス業で弁済に追い込まれた例が目立った。建築基準法改正で、建築確認審査の手続きを厳しくしたことに端を発した住宅着工戸数減少の影響も現れているという。
全国五十二ある信用保証協会は、約百六十万の中小企業から保証を受託しており、九月末の保証債務残高は二十八兆八千八百十二億円。