2008年11月02日(日) 02時32分
<農水省>コメ流通経路明確化 産地追跡可能に 新法制定へ(毎日新聞)
農林水産省は、コメの産地や流通履歴を的確に把握し、汚染などの問題発生時に被害拡大を防ぐ「トレーサビリティー(流通履歴の追跡可能性)」システムを導入する新法を制定する方針を固めた。基準値を超える農薬やカビ毒に汚染された工業用米が食用に不正転売されていた問題で、消費者の不信感が高まっていることに対応する。食糧法やJAS(日本農林規格)法など関連法の改正案とともに、来年の通常国会への提出を目指す。
新法は、コメを扱う業者に仕入れ・加工・販売の記録と国への定期的な報告を義務付けることが柱。報告を怠ったり、虚偽の報告をした業者に対する罰則規定も盛り込む。農水省はコメ流通制度の見直しを検討している有識者会議「米流通システム検討会」の議論を踏まえ、11月中に制度の骨格を固める。
汚染米問題では、複雑な転売などで流通ルート解明に時間がかかり、消費者の不安感を募らせた。牛肉についてはBSE(牛海綿状脳症)問題を契機に制定された「牛トレーサビリティー法」があるが、農水省はコメについても同様のシステムを整備し、問題発生時に迅速に対応できるようにする必要があると判断した。
また、加工食品に使われたコメの原産地表示も義務付ける方向。汚染米は米菓や酒類の原料に使われていたが、現行のJAS法などは原料米の原産地表示を義務付けていない。このため、一定の条件に当てはまる加工食品については、表示を義務付ける方向で検討している。【工藤昭久】
【ことば】トレーサビリティー 食品などの生産や流通にかかわる履歴情報を追跡できるようにすること。国内法令では、BSE発生を受けて03年に施行された「牛トレーサビリティー法」がある。同法は、すべての牛に出生時点で個体識別番号を付け、店頭で販売される牛肉の包装にも表示を義務づけている。卸・小売業者が不適正な表示をし、是正勧告や改善命令にも従わない場合は最高30万円の罰金を科す。
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