「有楽町で逢いましょう」「君恋し」など数々のヒット曲で知られ、“低音の魅力”で戦後のムード歌謡を代表した歌手のフランク永井(ふらんく・ながい、本名永井清人=ながい・きよと)さんが十月二十七日午後六時、肺炎のため東京都世田谷区の自宅で死去していたことが二日分かった。七十六歳。宮城県出身。葬儀は近親者のみで執り行った。
一九五二年に上京し、埼玉県・朝霞の米軍基地でジャズを歌い始めた。五五年「恋人よわれに帰れ」でデビューした後、歌謡曲に転向、作曲家
低音が響く独特の歌声で「東京午前三時」「夜霧の第二国道」などのヒットを放ち、六一年には「君恋し」で日本レコード大賞、七一年には芸術選奨文部大臣賞を受賞。NHK紅白歌合戦には二十六回連続出場した。
そのほかのヒット曲に、松尾和子さんとのデュエット「東京ナイト・クラブ」や、「おまえに」などがある。今年七月には「有楽町で逢いましょう」が発売から約半世紀を記念して、歌碑が東京・有楽町に建立された。
八五年に自宅で自殺を図ったが一命を取り留め、長くリハビリを続けていた。今年夏、かぜで体調を崩して入院し、闘病中だった。