障害者自立支援法に基づく福祉サービス利用料の原則1割負担(応益負担)は生存権の保障を定めた憲法に違反するなどとして、廿日市市に住む身体障害者の夫婦が31日、国と市に対し賠償や慰謝料の支払いなどを求める訴訟を広島地裁に起こした。広島を含め東京、大阪など8地裁で計29人が一斉提訴した。
広島の原告は秋保和徳さん(57)と妻喜美子さん(59)。訴状などによると、「障害者は金銭負担をしなければ社会参加や自己実現をする権利を奪われるということで、基本的人権を侵害する」などと主張。法施行後から提訴までに支払った負担額と慰謝料計約64万円の支払いを国と市に求めている。
提訴後の会見で、和徳さんは「障害が重い人ほど負担が増える矛盾を抱えた法律を認めるわけにいかない」と強調。喜美子さんも「障害者も社会の構成員。生きがいを持ち、安心して暮らせる福祉制度を作るため社会に国に問いただすのが私たちの役割」と支援を呼び掛けた。
【写真説明】提訴後の会見で応益負担の廃止を訴える和徳さん(左)(広島市中区の広島弁護士会館)