被爆国の憤りを忘れてはいけない—。勝新太郎主演の「座頭市」をはじめ数々の映画やテレビドラマの脚本を手掛けた下松市切山中の脚本家東條正年さん(80)が、核兵器の恐ろしさを次世代に伝えていこうと、反核紙芝居「ピカドン」を制作した。1日午後2時から、同市中央公民館で発表会を開く。
広島に投下された原爆で両親と姉妹計4人を失い、自らも被爆した山口市のカルメル会修道院の長康子さん(78)が昨年書いた体験記を読み、これを基に紙芝居を作った。絵は知人に依頼し、焦土と化した広島で次々と家族の死に直面する惨劇を18枚に収めた。
「核の恐怖は取り去られてはいない」と、戦後60年余り封印していた悲痛な記憶を解いた長さん。その思いに東條さんは共感し、筆を執った。
【写真説明】制作した紙芝居を説明する東條さん