甲南女子大(神戸市)が所蔵する源氏物語「
源氏物語の代表的な写本である藤原定家編さんの「青表紙本」とは異なる独自の文があり、大学は「源氏物語研究の貴重な史料になる」としている。
幕末に江戸城明け渡しなどにかかわった幕臣・勝海舟の蔵書印があり、勝が手に取って読んでいた可能性もある。
同日、記者会見した甲南女子大の
源氏物語千年紀にちなみ九月、関西大の
五十四巻から成る源氏物語は作者紫式部が書いた原本はなく、書き写しで伝えられてきた。鎌倉時代初期に藤原定家が書写した青表紙本で現存するのは四巻だけとされ、梅枝は含まれていない。
写本の記述では、主人公の光源氏が最愛の紫の上に「字がうまい」と伝える場面で、紫の上が「いたうなすかし給そ(ご冗談おっしゃいますな)」と応じる部分が青表紙本などにはないという。米田教授は「紫の上の新たな人物像が考えられるかもしれない」と話している。
また、同大学所蔵の「
写本は十一月四—七日と十日の五日間、甲南女子大図書館で無料で一般公開される。
【写真説明】 鎌倉時代中期の写本とみられる源氏物語「梅枝」の巻。中央上に勝海舟(勝安芳)の蔵書印が押してある