2008年10月30日(木) 23時30分
<米GDP>マイナス成長…米の景気失速鮮明に(毎日新聞)
30日発表された08年7〜9月期の米実質成長率は前期比0.3%減と3四半期ぶりのマイナス成長に陥り、金融危機の震源地である米景気の失速が鮮明となった。対米輸出の落ち込みを通じ、日本や欧州、新興国経済も急速に冷え込んでおり、世界同時不況が一段と現実味を帯びてきた。
米国では9月以降の金融危機の深刻化で「個人消費が凍り付いた」(米エコノミスト)状態が続いている。新車販売は9月に前年比26.6%減と大幅に落ち込み、「10月はさらに減少する恐れがある」(日系メーカー販売店)。比較的堅調だった輸出も金融危機が世界に拡大したことで急減速し、輸出主体のハイテク産業や建設機械など企業業績の下方修正が相次いでいる。企業業績の悪化が賃金減少や人員削減を通じて個人消費を落ち込ませる悪循環に陥っている。
例年なら米小売業の最大の書き入れ時になる年末商戦も「史上最悪」との予想が目につき、今春の所得税の還付効果も息切れしている。米連邦準備制度理事会(FRB)が29日、過去最低水準(年1%)への利下げ決定後に発表した声明で「ゼロ金利政策」への移行も辞さない構えを示したのも、景気後退の長期化を見越しての対応と言えそうだ。
景気悪化は欧州でも鮮明だ。ドイツやフランスなどユーロ圏15カ国の4〜6月期の成長率はマイナスに転落、英国も7〜9月期はマイナス成長になった。日本も4〜6月期に続き7〜9月期もマイナスとの予測が大勢。世界経済を支えてきた中国も7〜9月期は9%成長と約3年ぶりに1ケタにとどまった。
FRBに続き、欧州中央銀行(ECB)も来月6日に利下げする見通し。日銀も31日の金融政策決定会合での利下げを検討しており、日米欧は危機克服に向け足並みをそろえつつある。だが、実体経済の悪化は各国の想定を上回るスピードで進んでおり、金融当局には厳しい局面が続きそうだ。【坂井隆之、ワシントン斉藤信宏】
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