伊藤ハム(兵庫県西宮市)は二十五日、千葉県柏市の同社東京工場で、ウインナーやピザの製造時に使う地下水から基準値を超えるシアン化物イオンと塩化シアンを検出、製品への混入の恐れがあるため、沖縄を除く四十六都道府県に出荷した十三種類の製品、計約二百六十七万パック(賞味期限切れも含む)を自主回収すると発表した。
回収するのは「あらびきグルメウインナー」などウインナーやソーセージ九種類と、「ラ・ピッツァマルゲリータ」などピザ四種類。ウインナー二種類について製品に塩化シアンなどが残っていないか調べており、三十日に結果が出る見込み。
二十五日夜に記者会見した
塩化シアンは毒性があるが、同社は「食べても人体に影響はない量だと考えている」としている。これまでに健康被害の報告はないという。
同社によると、工場内に三カ所ある井戸の一カ所について、九月十八日に三カ月に一回の水質検査をしたところ、一リットルあたり〇・〇二ミリグラムを検出し、基準値(同〇・〇一ミリグラム以下)を上回った。
一週間後の再検査でも〇・〇三ミリグラムを検出した。別の井戸でも十月三日の検査で〇・〇一四ミリグラムを検出したため、二つの井戸からの地下水使用を見合わせた。
地下水は、ウインナーやピザの製造や機械の洗浄に使っている。十月十四日の再度の検査では、二カ所ともシアン化物イオンや塩化シアンは検出されていないが製品への使用は再開せず、残る一カ所の井戸の地下水で操業しているという。
回収対象は九月十八日以降に生産した約二百六十七万パックで、このうち賞味期限が切れていない製品は約百九十四万パック。
柏市役所は二十五日、東京工場の二十四日の立ち入り調査では地下水の数値は基準を下回っていたと発表した。