2008年10月26日(日) 19時55分
<イージス艦情報漏えい>28日、横浜地裁で判決(毎日新聞)
海上自衛隊内で秘匿性の高い「特別防衛秘密」(特防秘)であるイージス艦情報を漏えいしたとして「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」違反の罪に問われた3等海佐、松内純隆被告(35)の判決公判が28日、横浜地裁(栗田健一裁判長)で開かれる。弁護側は、情報を受け取った3佐は同法が漏えいを禁じる「他人」ではなく無罪と主張、同法違反で初の司法判断がどんな解釈を示すか注目される。
1954年施行の同法は、米国から提供された軍事機密を特防秘に指定し(1)その取り扱いを業務とする者が(2)業務で得た特防秘を(3)他人に漏らした−−場合、10年以下の懲役と定める。検察側は「国家的信用を失墜させる」と懲役3年を求刑。弁護側は、特防秘を含むとされる教育用ファイルを当時第1術科学校教官だった3佐に送ったことは認めたが、(1)〜(3)のどれも該当しないと反論した。
最大の争点は(3)。検察側は「取り扱う権限と知り得る権限は表裏の関係」で特防秘取扱者ではない元教官への送付は漏えいと指摘。地検幹部は「取扱者を限定した『バリアー』が破られた」と言う。弁護側は、元教官が防衛秘密を扱う「適格性の確認」は得ており「特防秘を知ることができる」資格があったと主張。スパイ対策という同法の趣旨から「他人」とは「わが国の安全を害する者」らに限られるとも述べた。
ファイル内容が特防秘か否かでも対立。検察側は公判で情報流出しないよう印刷してほぼ黒塗りで証拠提出し、元教官らに「射撃指揮装置の周波数などイージス艦情報が詳細に記載されていた」などと証言させて立証を図った。弁護側は「国内外の公刊物でも公表されている」と否定する。【池田知広】
◇イージス艦情報漏えい事件
論告などによると、松内被告は海上自衛隊横須賀基地で特防秘取扱者だった02年8月ごろ、共用パソコンから自分のパソコンに持ち出した隊内教育用ファイルをCDに複写し、当時の第1術科学校教官に隊内便で送った。同校内などで40人近い海自隊員が次々と複写。元教官ら4人も書類送検されたが起訴猶予となり「元教官に頼まれ教育のために送った」と言う松内被告だけが逮捕・起訴された。防衛省は08年3月、上司を含め計58人を処分した。
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