【北京=古田哲也】中国訪問中の麻生太郎首相は24日、北京の人民大会堂で中国の胡錦濤国家主席、温家宝首相と個別に会談した。米国の金融危機で続くドル安傾向に対し、ドルを基軸通貨とする現行体制を維持するため協調していくことで一致した。
首相は会談後「ドル体制の崩壊を望んでいる人はいない。急激な変化が日中双方の国益に資することはない」と強調した。
会談では来月15日にワシントンで開かれる緊急首脳会合(金融サミット)で成果を出すため、両国が協力していくことでも一致した。
首相は、中国製ギョーザ中毒事件やメラミン混入問題を踏まえて「中国の食べ物の安全性への不信が日本国民にはある。きちんとした対応をしてほしい」と安全対策の徹底を要請。温首相は「中国として責任を負う」と応じた。
北朝鮮問題では、核施設の無能力化など朝鮮半島の非核化実現に向けて、麻生首相が6カ国協議の議長国である中国の指導力に期待感を表明。日本人拉致問題解決で北朝鮮への働き掛けを求めた。
温首相は「日朝関係が改善し、拉致問題も解決されることを望む」と述べた。
両国は首脳間の連携を強めるため、必要に応じて電話会談を行うためのホットライン開設でも一致した。
(中日新聞)