「ガリバー旅行記」など児童書の挿絵で名高い伊万里市出身の画家、古賀亜十夫(あそお)さん(1905〜2003年)の作品を展示する「古賀亜十夫記念館」が25日、有田町の有田ポーセリンパーク内にオープンする。約2500点を収蔵、大人たちが子どものころ目にした懐かしい挿絵が勢ぞろいする。(田口洋一)
古賀さんの挿絵は、洋画の遠近法を取り入れた色彩豊かな作風で知られる。「イソップ物語」「ドン・キホーテ」「怪人二十面相」「野口英世」「ベートーベン」など、各出版社の児童文学書、偉人伝、全集に数千点を描いたといわれる。
記念館はこうした原画約1200点を収蔵。ほかに中国出征時の素描、油彩のスペイン風景、11歳の時に伊万里川を描いた鉛筆画、水彩画、彫塑など約1300点がある。これらのうち500点を展示し、半年おきに作品を入れ替える。
古賀さんは、大阪で美術を学んで現在の伊万里商高や有田工高で教壇に立ったが、画家になる夢を捨てきれずに44歳で上京。挿絵を描いて不動の地位を築き、90歳を過ぎて伊万里に戻った。
記念館設立は、古賀さんの旧宅の倉庫から約2年半前、膨大な作品が見つかったことがきっかけ。遺族の知り合いの陶芸家、山口樹子(じゅし)さん(61)らが保存運動を起こし、ジャンル別、時代ごとに整理を続けてきた。
館長を務める山口さんは「古賀作品は県民の宝。郷土が生んだ偉大な画家の足跡をたくさんの人に知ってもらいたい」と話している。
開館時間は午前10時〜午後5時。年中無休。入館料は大人300円、中高生200円、小学生100円。問い合わせは同館(0955・42・6624)へ。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saga/news/20081024-OYT8T00739.htm