民主党が「審議促進作戦」の見直しを迫られている。懸案処理に協力し、早期の衆院解散に踏み切らせる狙いだったが、当の麻生太郎首相は「まだ全然決めてない」と慎重姿勢を崩さない。一方で焦点の新テロ対策特別措置法改正案をめぐる参院審議は、週明けにヤマ場を迎える。淡々と否決し衆院での月内再可決・成立に協力するか、徹底抗戦し成立をずれ込ませるか—。小沢一郎代表の最終判断のリミットは刻一刻と近づいている。
「自民党に都合がいいとか悪いとかで、解散時期をもてあそぶことは許されない」。二十四日、青森市内で記者会見した小沢氏は、いらだちを隠さなかった。
インド洋での給油活動継続に反対しながら早期採決を容認する民主党に、国民新党は「野党が解散してくださいというときに解散するばかはどこにいるか」(亀井静香代表代行)と猛反発。参院での過半数を担保する「野党共闘」にひびが入りかねない状況だ。
対テロ新法案を審議する参院外交防衛委員会の委員長は、民主党が握っている。党内では、首相が出席しテレビ中継される二十八日の審議を境に、徹底抗戦に出るシナリオがささやかれる。
河村建夫官房長官の事務所費問題を参院予算委員会で追及し、内閣を「機能停止」に陥らせる作戦もその一つ。公明党が毛嫌いする「政治と宗教」の問題を取り上げ、創価学会の池田大作名誉会長らの参考人招致に本腰を入れる構えをみせる。
国民新党や社民党と連携しなければ、切り札である参院での首相問責決議はすんなり通らない。小沢氏は、国民新党には衆院青森4区での独自候補擁立を見送り花を持たせ、社民党には対テロ新法案で「十分な審議を尽くす」と言質を与えた。
ただ景気後退感が広がる中、経済対策を最優先する麻生首相を解散に追い込むのは容易ではない。逆に「生活より政局優先」との批判を招く恐れもあり、小沢氏は厳しい決断を迫られている。