2008年10月25日(土) 15時47分
タイ観光かげり10月、前年比半減見通し(産経新聞)
【バンコク=菅沢崇】反政府デモが続くタイで、主要産業である観光業に陰りが見え始めた。8月以降、日本からのツアー客は急激に減少し、さらに金融危機が追い打ち。業界団体の予想では、10月は前年比で半減以上を記録する見通し。主要空港の旅客数も先月すでに2割減少しており、航空・旅行業界は厳しいセールスを迫られている。
日本旅行業協会(東京都)が今月初めにまとめた、大手6社を対象とした統計によると、日本からタイへのツアー客は前年同月を100として、8月には74・9%、9月には57・9%を記録。10月の予想値は44・3%で、12月も64・8%と落ち込みは回復しない見込みだ。
景気低迷が憂慮される中で、アジア地域では、韓国と香港・マカオを除いては客足が遠のく観光地が並び始めているが、特にタイは中国と並んで急減している。首都バンコクでは、市民団体が依然として首相府を占拠しており、現地旅行業者の多くが「非常事態が宣言されるなど危機的なイメージが先行し、かなり客足に影響している」と話す。
タイ国内の主要6空港の利用状況を見ても、9月の旅客数は国内、国際線とも20・2%減(タイ国営空港運営会社調べ)で、3年3カ月ぶりの低水準となっており、一向に安定しない政局や世界的な金融危機の余波を顕著に反映している。
タイ観光庁は今月8日には計54カ国の旅行業者ら約1000人を招待して視察旅行を実施、来年は1500人規模に拡大し再度、誘致を図る予定だが、「デモだけでなく、燃料費の高騰など複数の要因がからみ、なかなか完全な回復は難しい」(タイ旅行業関係者)との声が早くも出ている。
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