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2008年10月23日(木) 18時24分

テロ支援国家指定解除の次はエネルギー支援 北朝鮮攻勢産経新聞

 【ワシントン=有元隆志】北朝鮮の核問題で、エネルギー支援の日本負担分をめぐり、北朝鮮が強硬姿勢に出ている。米国によるテロ支援国家指定解除という長年の目標を達成した北朝鮮は、日本政府が拉致事件の進展がない限り支援しないとしていることに反発し、核問題をめぐる6カ国協議からの日本除外を求めている。米政府はオーストラリアに日本負担分の肩代わりを打診し、支援問題の解決を図ろうとしているが、北朝鮮が拉致事件にどこまで真剣に取り組むのか懸念する声も出ている。

 2007年2月の6カ国協議の合意で、北朝鮮による核計画の申告や核施設の無能力化の見返りとして、100万トン相当の経済、エネルギー支援が明記された。各国の分担に関する明記はないものの、5カ国で均等分して20万トン(約160億円相当)を負担することが暗黙の了解となっている。

 北朝鮮との間で拉致事件を抱える日本は、「環境が整えば、可能な限り早期に参加する」と表明してきた。麻生太郎首相はテロ支援国家指定解除の連絡をしてきたブッシュ米大統領に対し、拉致事件で何ら進展がない状況で、エネルギー支援には参加できないことを伝えた。米側も日本の「特別な事情」については理解している。

 北朝鮮はこれに反発し、日本の6カ国協議からの除外を求めた。6カ国協議筋は、北朝鮮の対応について「米国が6カ国協議の崩壊につながる日本排除に応じるはずがないことは北朝鮮も十分承知している。テロ支援国家指定解除を達成したのに続いて、ブッシュ政権の任期中に、エネルギー支援という当面の実利も確保しようとして、攻勢に出ている」と指摘する。

 豪州は欧州連合(EU)などとともに、これまでも北朝鮮に支援を実施してきた。米国などは、地域の安全保障という観点からも豪州にエネルギー支援への参加を要請しているものの、これにより6カ国協議の枠組みをただちに変更することには消極的だ。

 マコーマック国務省報道官は「5カ国には(重油支援という)義務を果たせる強い確信がある」と、問題解決に楽観的な見方を示している。ただ、米政府当局者は拉致事件については、「次回の6カ国協議開催前に日朝協議が再開されることを望んでいるものの、北朝鮮がどこまで真剣に取り組むつもりがあるのか心配している」と語った。

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