2008年10月23日(木) 21時07分
<鉄スクラップ>急落、7月6万7千円から10月1万8千円(毎日新聞)
世界的な景気減速で、これまで高値が続いてきた鉄スクラップ価格が急速に値下がりしている。7月につけた過去最高値に比べ、現在は3分の1以下の水準だ。鉄スクラップから鋼材を生産する電炉メーカーの間では、鋼材価格引き下げの動きも出てきた。
スクラップ業者や鉄鋼メーカーでつくる日本鉄源協会によると、鉄鋼製品の原料として取引される標準的な鉄スクラップの国内平均価格は、10月の第3週が1トン当たり1万8109円。前週比で約3割値下がりした。
鉄スクラップの国内平均価格は7月には過去最高の同6万7547円まで上昇したが、金融危機による景気減速で国際的に買い控えが強まった。同協会は「特に日本の主要輸出国である韓国で通貨・ウォン安や在庫の増加で需要が減ったようだ」と話している。
鉄スクラップの価格下落や主力の建設向け鋼材の需要減を受け、電炉最大手の東京製鉄は全15品種の鋼材販売価格(11月契約分)を前月比20〜38%引き下げる。同社は今年9月分から全品種を3年2カ月ぶりに値下げしたばかりだが、「鋼材価格は今後も需給状況とスクラップ価格の動きを見極めて判断するが、値下げの方向が強まる可能性がある」と話している。【森有正】
【ことば】鉄スクラップ 不要となった自動車や家電などの鉄製品のほか、工場で使われなかった鉄くずなどを回収し異物を除去したうえで、圧縮・粉砕して再び鉄の原料になるように加工したもの。鉄スクラップを溶かし、建設用の鋼材などを生産する電炉メーカーが主に使用する。国内の鉄スクラップ価格は、世界的な需給に左右される。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081023-00000083-mai-bus_all