2008年10月20日(月) 14時00分
中国人青年が廃車で作る、巨大『トランスフォーマー』各種(WIRED VISION)
中国、浙江省で金属くず商を営む青年が、子供のころからの夢をかなえると同時に、われわれの心をわしづかみにした。
廃車を使って、『トランスフォーマー』風のオブジェをいくつも作っているのだ。
この恐れ知らずのオタクは、このロボット軍団を作ったのは商売を宣伝するためだ、と説明している。しかし実際のところこれは、子供のおもちゃの巨大なレプリカに何週間も費やしたことに対する、家族への言い訳なのではないかと思われる。
『China Car Times』の取材に、この男性はZhuという名字しか明かしておらず、世に知られることにはあまり興味がなかったようだ。
Zhu氏は、商売用の車とバイクの部品を集め、マフラーとリムを組み立てて『オプティマス・プライム』[日本名『コンボイ』]を複製した。
しかし、われわれはちょっとした時間軸の間違いに気付いてしまった。Zhu氏が使用したドイツBMW社の『7シリーズ・E32』は、ジェネレーション1(G1)と呼ばれるトランスフォーマー作品群が撮影された後に生まれた車なのだ。
Zhu氏が『トランスフォーマー G-2』を参考にした可能性もある。しかし単に、それより古いBMW社の車が見つからず、切り刻んでロボットの形に溶接することができなかっただけのような気がする。
少なくとも、ダッシュボードのカセットデッキに『ラットバット』を収容することはできる。Zhu氏が作った『オートボット』[日本名『サイバトロン』]や『ディセプティコン』[日本名『デストロン』]の写真は、あとに掲載されている。
『カップ』[日本名『チャー』]より古い車の部品が積み上がっているところを見ていると、レッド・チャイナ(共産主義の中国)というよりは、『レッド・アンド・グリーン・ショー』[ガラクタから様々なものを作り出す番組]の世界に近いと思うかもしれない。
しかし、忘れないでほしい。怪物のような巨大工場に原料を送りこんでいる国では、金属くずは大金になる。Zhu氏が夢をかなえるために犠牲にしたのは、時間だけではない。リサイクル可能な貴重な資源まで犠牲にしたのだ。
BMW社『7シリーズ』が利用された以外にも、操り人形のような顔を持つバイクや、アルベルト・ジャコメッティが作った彫刻風のひょろ長く気味の悪い像などが、すべて売り物になる金属くずで作られている。
トランスフォーマーは、中国で初めて放映された外国のアニメで、その存在は金属くずよりはるかに大きい。米国の子供たちもトランスフォーマーを愛し、そこから生まれたアクションフィギュアは子供たちの遊びを一変させたのだが、中国ではさらに大きな存在になった。
毎晩6時になると、子供たちはトランスフォーマーを見るために急いで家に帰ったし、米Hasbro社のアクションフィギュアを親たちにねだった。『China.org.cn』によると、1987年以降に[中国で]売れたトランスフォーマーの玩具は金額にして6億6100万ドルを超えるという。
ただしその大部分は、裕福になって子供のころに夢見たおもちゃをようやく買えるようになった、現在30代ぐらいの人々によるものではないかと思う。
[過去記事「卵パイの包み紙で作った、超精巧な『トランスフォーマー』」でも、自作の紙細工を掲示する中国Sofu.comのブログを紹介している]
以下、写真はすべて『China Car Times』より。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081020-00000002-wvn-sci