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2008年10月20日(月) 02時02分

神戸地検が遺族・負傷者と集団面談 JR脱線事故産経新聞

 兵庫県尼崎市で平成17年4月、乗客106人が死亡、562人が負傷したJR福知山線脱線事故で、神戸地検は19日、事故の遺族や負傷者らでつくる2団体のメンバーと集団面談した。被害者側は今も続く苦しみに加え、事故の真相解明やJR西日本に対する徹底した責任追及を訴えた。検察当局が捜査結果を公表する前に、このような集団面談を行うのは極めて異例。

 地検を訪れたのは遺族らでつくる「4・25ネットワーク」の29人と、負傷者らの団体「JR福知山線事故・負傷者と家族等の会」の17人。

 地検は9月8日に兵庫県警から山崎正夫社長(65)らJR西関係者10人の書類送検を受けて以降、全遺族と負傷者に手紙を郵送。同封したアンケートで、処罰感情や捜査への要望などについての意見を求めた。今月16日までに147通の返信があり、地検はすでに面談を希望した人のうち、24組の遺族や負傷者と個別に面談する異例の対応を取っている。地検内には相談用の専用回線も設置している。

 この日の集団面談は、アンケートの中で、「集団の方が発言もしやすい」との声が寄せられたことなどから、地検が実施を決めた。

 「4・25ネットワーク」のメンバーらは、事故当時の経営トップだった垣内剛元社長(64)、南谷昌二郎元会長(67)、井手正敬元相談役(73)の3人は書類送検されなかったが、自動列車停止装置(ATS)の設置を見送らせるなど安全対策を怠らせたとして、責任追及を強く求めた。これに対し、地検側は「警察と検察は違う。検察は検察の考えで捜査をしていく」と答えたが、捜査状況については「幅広く捜査する」と明言を避けたという。

 また、「JR福知山線事故・負傷者と家族等の会」は、事故により受けた心的外傷後ストレス傷害(PTSD)など、今も悩まされている心理的ストレスや、人生設計が変更を余儀なくされた苦痛などを伝えたという。

 地検は今月に入り、事故発生以来初めて、JR西本社(大阪市)を業務上過失致死傷容疑で家宅捜索した。また、山崎社長のほか、井手元相談役、垣内元社長ら事故発生当時の幹部の事情聴取を実施した。今後も慎重に捜査を重ね年内にも起訴の可否について結論を出すとみられる。

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