2008年10月18日(土) 15時00分
<国際振り込め詐欺>日本企業の被害急増 架空商談で送金(毎日新聞)
人づてに貴社の評判を聞いたなどとして、面識のない外国人が突然、電子メールで架空の商談を持ち掛け、貿易手続きなどの前渡し金を海外口座に送金させだまし取る−−。「国際的振り込め詐欺」の被害に遭う日本企業が増えている。日本人が仲介して信用させる手口も出ており、巧妙・多様化する事件に、外務省は注意を呼び掛けている。【大谷麻由美】
日本貿易振興機構(JETRO)によると、こうした被害の相談は02年に約20件だったが、07年は177件、今年は9月末までで264件と激増している。振り込み要求額は200万〜300万円が主流。被害に遭っているのは多くが中小企業で、景気が悪くなると被害件数が増える傾向にあり、経営難から甘い誘いに乗ってしまう構図がうかがえる。
オランダの調査団体の資料によると、世界での被害総額は07年で43億ドル(約4300億円)に上る。日本の被害額は、米国、英国に次いで第3位。
この種の詐欺は80年代にナイジェリアで始まり、アフリカを中心に世界に拡大した。ナイジェリアの刑法条項に基づき「419詐欺事件」と呼ばれる。
07年3月ごろには、東京都内の貿易会社がアフリカのガーナの企業から帽子を注文する大量のメールを受け取った。契約寸前に「入札参加費」を要求されたため不審に思い、駐日ガーナ大使館に問い合わせて詐欺と分かり、被害を免れた。
手口としては、外国の政府高官を装って入札などへの参加を勧誘し、入札手数料を振り込ませる「政府調達型」▽「革命資金を預かってほしい」などと秘密資金の海外送金話を持ち掛け、手数料の振り込みを求める「マネーロンダリング型」−−などもある。
最近は、現地に呼び出して拉致・監禁に及ぶケースもあり、9月には、日本の仲介者に南アフリカの企業を紹介された東京都内の貿易会社の男性社員が中古レールの買い付けのためヨハネスブルクの空港に到着した直後に誘拐された。犯人グループは身代金50万ドル(約5000万円)を要求、振込先の銀行口座を指定した。男性は無事救出された。
【ことば】419詐欺
先進国の企業・人を主なターゲットに、前渡し金や商品をだまし取る国際的詐欺の一種。アフリカ西部のナイジェリアで80年代に始まり、80年代後半には日本でも被害が確認された。当初は手紙やファクスが主な手段だったが、近年は電子メールが中心となっている。「419」は詐欺行為を罰するナイジェリア刑法第419条に由来する。
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