ヘッドホンに単眼式ディスプレー、モバイルAVプレーヤー、Wi−Fi無線通信、インターネット接続機能を搭載した、ハンズフリー型の映像・音楽再生機器。
これまでにも、ヘッドマウントディスプレーはいくつかの製品が発売されたが、いずれも両目で装着するタイプ。一方、UPは、片眼だけで見るという新しいスタイルを提案している。しかも、とても多機能だ。
映像や音楽は、パソコンから転送するほか、Wi−Fi無線通信機能を利用することで、直接インターネットからダウンロードできる。ただし、YouTubeなどの動画配信サービスの動画は再生できない。基本的には、UPユーザー向けに開設される動画コンテンツ配信サービス「UPLINK(ユーピーリンク)」からダウンロードすることになる。
コンテンツの管理と転送、インターネットの接続設定は、専用ソフトの「UPLink」から行う。また、音楽や動画に関しては、ウィンドウズ・メディア・プレーヤーにも対応。ただし、同期機能は使えないため、UPをパソコンと接続しておき、ドラッグ&ドロップでコピーすることになる。
ホームページの閲覧も、UPには文字を入力する機能がないため「UPLink」を活用する。「UPLink」に登録したお気に入りを転送し、表示するわけだ。
なお、外出先でのWi−Fi接続だが、NTT東西、NTTコミュニケーションズ、ソフトバンクが提供している無線LANスポットへの接続が可能となっている。
ラインアップは、高機能タイプの「UP300x」とベーシックタイプの「UP300」の2モデルを用意。「UP300x」は内蔵メモリーが8GB(UP300は4GB)で、モーションセンサーを搭載することで頭を上下左右に動かすと動画や音楽の選択および再生や一時停止などの操作が行える。また、AV入力端子を装備し、モバイルAVプレーヤー、携帯音楽プレーヤー、携帯電話など、AV出力を搭載する機器を接続することも可能だ。
背景に同化する動画の不思議体験今回実際に、東京・表参道で開設中のタッチ&トライスペース「UPLAB」(http://www.uplab.jp/)にて、実際にUPを装着してどのように動画が見えるのかを体験してきた。
まず、ヘッドホンの装着感だが、多機能のため重いのではないかと予想していたが、意外と軽い。筆者の利き目(片眼でものを見たときによりクリアに見える方)は右目だと思われるので、ディスプレーを右目用に設定して装着。
ディスプレーが付いているアームは、長さや位置を調整でき、ディスプレー自体も角度を見やすいように調整できる。ピント合わせも可能だ。
今回はUP300の機種を試用したが、各種操作は「マルチセレクターボタン」を使用する。上下左右に配置されたリングボタンのいずれかを軽く指で触れると、該当する操作の色がディスプレー上で変わる。そのままボタンを押すと実行だ。操作は、画面やコンテンツの切り替え、再生、一時停止、停止などシンプルなので、すぐに慣れる。
早速映像を再生してみたが、なかなか不思議な体験だった。左目では普通に目の前の景色を見ているため、そこに動画が浮かび上がって見えるような感覚になる。
左目での視界が邪魔になるのではないかと思っていたが、ディスプレーの位置をきちんと調整しさえすれば、ごく普通に映像を楽しむことができる。音質も十分。ドライバーユニットに大口径の40mm高磁力ネオジウムマグネットを採用することで、とてもクリアで自然な音を堪能できた。
10月15日から予約スタート販売は、ウェブサイトの「UPSTORE」(http://www.upstore.jp/)でのみ行われ、今年10月15日から予約が始まっている。発売は、2008年12月中旬の予定だ。
今回取材した、東京・表参道ヒルズ本館地下3階にある「UPLAB」は、2008年12月7日まで開設されている。また、2008年10月8日から、プレミアムアウトレット土岐、神戸三田、御殿場のニコンダイレクトストア各店、ニコンプラザ銀座、新宿、大阪に体験コーナーを設置。
百聞は一見にしかず。まったく新しいコンセプトの製品なので、興味のある方は足を運んでみてはいかがだろうか。 (テクニカルライター・小野均)
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発売ニコン http://www.nikon.co.jp/ 販売UPSTORE http://www.upstore.jp/ 価格6万9800円(税込)/UP300x、5万9800円(税込)/UP300 記憶媒体内蔵フラッシュメモリー=4 GB(UP300)/ 8GB(UP300x) 対応フォーマット動画=MPEG1、MPEG2、WMV9 (DRM10 対応)、音声=MP3、WMA9 (DRM10 対応)、AAC、静止画:JPEG 無線LAN802.11b/g対応 電源単3型充電式ニッケル水素電池 連続再生時間動画:約120分、音楽:約270分 質量約385g(付属の電池を含む)http://www.yomiuri.co.jp/net/column/digimono/digimono081015.htm