1981年のロサンゼルス銃撃事件で、今年2月に米自治領サイパンで逮捕、拘置され、ロサンゼルスに移送されたばかりだった三浦和義・元会社社長(61)=日本では無罪確定=が10日午後10時(日本時間11日午後2時)ごろ自殺した。関係者が明らかにした。
収容先のロス市警本部の留置場独房でTシャツを使って首つりを図り、搬送先の病院で死亡が確認された。
元社長の死亡で元妻、一美さん銃撃事件の訴追手続きは停止される見込み。日本で無罪が確定した元社長が、米当局に逮捕され、発生から27年を経て米国であらためて訴追の手続きが進むという異例の展開をたどったが、真相究明は極めて難しくなった。
三浦元社長は14日に罪状認否のためロス郡地裁に出廷する予定だった。一貫して無罪を主張していた。
遺書などは見つかっておらず、自殺の動機は不明。ロス郡当局が遺体の司法解剖を行い、死因を調べる方針。
元社長のロスの弁護人ゲラゴス氏は11日、AP通信に「担当弁護士の一人が三浦元社長に10日に会い、精神状態は良さそうだった。元社長は法廷闘争に前向きだった」と語った。
元社長は、サイパンからロスへの移送を拒否していたが、現地の地裁が人身保護請求を棄却。ロス郡地裁に求めた逮捕状取り消しも実現せず、一転して移送に同意した。
元社長は10日早朝、民間航空機でロサンゼルスの空港に到着。市警のリック・ジャクソン捜査官らに付き添われて捜査車両に向かった際には表情をほとんど変えず、無言のままだった。
元社長は移送前、支援者に、ロスでの裁判手続きで無罪を主張する意向を示していた。
◆ロス銃撃事件 1981年8月、米ロサンゼルス市のホテルで三浦和義元社長の妻一美さん=当時(28)=がホテルの自室で頭を殴られ負傷、同年11月に市内で頭を銃撃され、約1年後に死亡した。元社長も左足を撃たれ、事件後に一美さんの保険金約1億61000万円を受け取った。警視庁は85年9月、殴打事件の殺人未遂容疑で、88年10月には銃撃事件の殺人容疑で元社長らを逮捕。元社長は殴打事件で98年、実刑が確定し服役。銃撃事件では一審は無期懲役だったが、逆転無罪とした二審判決が2003年、最高裁で確定した。元社長は08年2月、殺人と共謀の容疑で米自治領サイパンで逮捕され、10月にロスに移送された。(共同)
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