2008年10月12日(日) 21時42分
<テロ指定解除>北朝鮮「支援履行を」…無能力化で揺さぶり(毎日新聞)
【北京・西岡省二】北朝鮮は12日の報道官発言で、米国のテロ支援国家指定解除を歓迎しながら、核問題をめぐる6カ国協議関係国の義務履行を強く促した。国内経済の崩壊を食い止めるには国外からの支援が急務であり、北朝鮮は今後も核施設の無能力化プロセスなどを巧みに操りながら、支援の引き出しを図るとみられる。
北朝鮮が寧辺(ニョンビョン)の黒鉛減速炉や再処理施設など3施設で行うはずだった無能力化作業は、必要な11工程中(1)使用済み核燃料棒抽出(2)未使用燃料棒処理(3)原子炉制御棒駆動装置除去−−が未完了だった。使用済み核燃料棒の抽出作業は、計8000本中4700本余が取り出された状態だった。6カ国協議関係者は「北朝鮮が抽出速度を高めれば、年内にすべての作業を完了できる」と見通している。
これに対し、北朝鮮に対する重油95万トン相当の見返り支援は、44万6000トン相当が実施されただけ。報道官発言は、核放棄プロセスの第2段階措置の完全履行には、経済・エネルギー支援の迅速な履行が欠かせないと強調。支援が遅れれば、再び無能力化作業を中断させる構えをみせている。
一方、北朝鮮は指定解除の次のステップとして、米国に国際通貨基金(IMF)やアジア開発銀行(ADB)などの国際機関への加入を支援するよう要求する可能性が高い。報道官発言で「(テロ支援国家指定解除の)実質的な効力発生」を強調したのは、国際機関への加入には米国の後押しが不可欠と見ているためだ。北朝鮮はこれまでの米国との交渉でも、この点を繰り返し要求してきた経緯がある。
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