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2008年10月12日(日) 17時37分

北朝鮮、テロ関与認めず=風化進む大韓機爆破事件時事通信

 【ソウル12日時事】米国が北朝鮮をテロ支援国に指定したきっかけは1987年11月に起き、115人が犠牲になった大韓航空機爆破事件だった。しかし、北朝鮮は工作員による犯行が明らかになったこの事件について謝罪どころか関与さえ認めておらず、米国も指定解除に当たり北朝鮮の責任追及に踏み込まなかった。
 被害を受けた韓国でも事件の記憶は風化しており、日本のように指定解除に反対する世論は盛り上がらない。韓国政府は逆に指定解除が核放棄プロセスに寄与すると歓迎する姿勢で、「(指定解除は)米国の法律に基づいたもの」(金塾朝鮮半島平和交渉本部長)と淡々とした対応だ。
 そもそも遺族の多くが事件当時の韓国政府の対応に強い不信感を持ち、事件が北朝鮮によるテロではなく、韓国の情報機関による「自作自演」だったと主張している。盧武鉉前政権時代には政府レベルの再調査が行われ、昨年には北朝鮮工作機関による犯行と改めて確認されたものの、遺族側は納得していない。
 被害者家族会の車玉貞会長は指定解除に当たり、「事件はでっちあげで、われわれも被害者だが北朝鮮も被害者」と反対しない立場だ。「日本がなぜ反対するのか理解できない」とまで語る。
 北朝鮮の関与の有無が明確にされないままテロ支援国指定が解除されたことで、大韓機事件の風化はますます進みそうだ。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081012-00000072-jij-int