長年のターゲットを逮捕し、ようやくロスまで移送して1日足らず。三浦元社長の自殺でロス市警は今後、批判にさらされそうだ。
市警は11日午前(日本時間未明)、三浦元社長の自殺について会見。記者会見した刑事部門の幹部は、動機など核心部分は「分からない」と繰り返した。長い捜査の果てに、ようやく身柄移送にこぎ着けた元社長を死なせたためか、同幹部は苦渋の表情。会見時間は数分だけだった。
同幹部は自殺の経緯について事前に用意した発表文を淡々と読み上げると、記者らの自殺の動機や遺書の存在に関する質問に「分からない」「調査中」などと短く答え、会見を切り上げた。
身柄をロスに移した10日には、同事件を担当するリック・ジャクソン捜査官が「ようやく米国に連れ戻した」と胸を張ったが、わずか1日で事態は急変した。
市警には「隠し玉」の存在もうわさされた。白石千鶴子さん変死事件だ。三浦元社長の交際相手だった白石さんが79年3月に渡米し、その後失踪(しっそう)。同年5月にロス郊外で変死体で発見され、白石さんと断定されたのは84年3月だった。捜査関係者らの間では、一連の疑惑の原点とされていた。
元社長が逮捕後に拘置されていたサイパンでは、複数の自治領当局者が「(元社長の妻だった)一美さん銃撃事件で米国でも無罪となったとしても、白石さんの事件の捜査が進む可能性がある」と話していた。
ロス市警の本当の狙いが、白石さん事件の解決だった可能性は否定できない。カリフォルニア州刑法では殺人の共謀罪は、禁固25年以上、最高では終身刑。同氏が刑をおそれて死を選んだ可能性もあるが、今となってはすべてが闇の中に。
ロス検察関係者は「こんな形で事件が終わってはならないはずだ。法廷で結論が下されるべきだった」と話したが、その言葉がむなしく響いた。
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