2008年10月11日(土) 01時01分
<IMF>「強固な協調政策を」…G7内の足並み乱れ懸念(毎日新聞)
「世界は1930年以降、最も深刻な金融ショックに直面し実体経済への打撃を逃れられる国はない。最悪の状況を阻むため強固な協調政策を行うべきだ」−−。国際通貨基金(IMF)は8日、世界経済見通し公表に合わせ、金融危機が世界同時不況の引き金にならないよう日米欧に抜本的な対策を求めた。
IMFが厳しい表現でG7に協調を迫ったのは「米国などの対応の遅れや協調の足並みの乱れが市場混乱を増幅させている」(IMF幹部)と見ているからだ。9月以降、深まった金融危機に対し、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)などは信用不安で機能がまひした市場に対する大量のドル資金供給で足並みをそろえたが、「金融機関の突然の資金繰り破綻(はたん)を防ぐための措置でしかない」(日本の財務省幹部)。
9月下旬になって、米国はようやく最大7000億ドル(約70兆円)の公的資金で不良資産を買い取る金融安定化策を公表。英仏独など欧州各国も経営危機に陥った大手銀行の国有化などを打ち出し始めた。しかし、欧州各国は預金者保護などの対応もバラバラで、株価暴落に追われた場当たりな対応が逆に市場の不信を増幅し、危機を深刻化させている。
追い詰められた米国は実質的に資本不足に陥った大手金融機関に公的資金で資本注入する方針を固めたが、市場安定化にはつながっていない。米国の対応にいら立つ欧州からはG7直前にもかかわらず、「リーマンを破綻させた米国の失策が国境を超えた金融機関の破綻ドミノを招いた」(ラガルド仏経済・財政・雇用相)との声さえ出る始末で、G7の足並みの乱れは鮮明だ。
「財務相と中央銀行総裁が腹を割ってどこまで話せるか。世界的な危機には政策対応を整合させなければならない」。9日、G7に出席する中川昭一財務相の同行筋はこう語ったが、市場では「よほどの政策が打ち出されなければ危機は収束しない」と突き放した見方が広がりつつある。【須佐美玲子、ワシントン斉藤望】
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