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2008年10月10日(金) 16時38分

「後期医療」年金天引き、新たに625万人医療介護CBニュース

 4月に始まった「後期高齢者医療制度」で、10月15日の年金支給日から保険料の天引きが拡大し、新たに約625万人が対象となる。天引きは、4月から既に約880万人に実施されており、10月からの対象者を合わせると、約1500万人に達する。こうした中、京都市議会が同制度の廃止を求める意見書を政令市で初めて可決。また、「後期高齢者医療制度に怒ってる会・青森」が設立されるなど、同制度への批判があらためて全国的な広がりを見せている。

 同制度の保険料については、4月、6月、8月の年金支給日に、年金額が低い高齢者を除く約880万人が天引きされている。
 10月の年金支給日からは新たに、健康保険組合に加入するサラリーマンなどに扶養されている約200万人、天引きを延期していた市区町村に住む約90万人、同制度に移行することになった健康保険などの加入者本人約35万人が天引きの対象になる。
 さらに、65-74歳の高齢者世帯(約300万人)の国民健康保険の保険料も9割を超える市町村で年金から天引きされる。これらを合わせると、天引きの対象が10月から約625万人増加する。

 同制度をめぐっては10月6日現在、全国1810市区町村の3分の1以上の640議会が「見直し」や「廃止」などを求める意見書を採択している(中央社会保障推進協議会調べ)。これに加え、京都市議会が、政令市では初めてとなる同制度の「廃止」を求める意見書を可決した。意見書では、「国民の高齢期における医療が適切に確保され、国民が安心して安定した暮らしを営むには、(年齢で区切ることなく)すべての国民が尊重される医療制度がなければならない。同制度を直ちに廃止し、喫緊の措置として以前の『老人保健制度』に戻す」必要性を指摘している。

 「怒ってる会」は今年6月、経済学者の宇沢弘文氏、作家の落合恵子氏、精神科医の香山リカ氏、連合顧問の笹森清氏、全国保険医団体連合会会長の住江憲勇氏、東大名誉教授の多田富雄氏、医師・作家・評論家のなだいなだ氏、評論家の樋口恵子氏の8人が呼び掛け人となり、東京都内で結成されている。地方レベルでの「怒ってる会」の設立は青森県が初めてで、同県内の50人余りの医師が呼び掛け人となり、10月19日に青森市内で結成会を開く。



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