2008年10月10日(金) 11時33分
「後戻りできない」 Windows 7(japan.internet.com)
「Mojave Experiment」を見ても新しい Windows Vista システムを買いに走らなかったり、Seinfeld と Gates 氏の広告を見ても近所の販売店に飛び込まなかったとしても、最新の Windows 7に関するおもしろい話を聞けば「Windows without Walls (障壁のない Windows)」の世界に戻れるかもしれない。
PDC や WinHEC カンファレンスの開催が近づくなか、われわれはその必然をじっと待っている。さまざまところで Windows 7のニュースに注目が集まっている。新しいスクリーンショットからリリース日まで、あらゆることを期待して待っている。Windows 7はここ数週間の間、業界各誌、インターネット、および Blog で狂ったように書き立てられている。
実際、どこに行っても暴落する市場か Windows 7の記事ばかりのようだ(順番は必ずしもこの限りではない)。
最近、業界の Windows ユーザーは Windows 7が本当に Windows Vista とは逆方向に進むのかどうかを見極めようとしている。Windows 7がどの程度 Vista と異なるものになるのかはまだ議論の余地が残っているが、Microsoft は最新製品に向けて2つのかなり注目に値する変更を加えようとしている。
まず初めに、Microsoft の Windows 7はここ数バージョンの Windows(Vista も含む)が OS 内部に用意してきたいつもの「上位互換性」を持たないことが発表されている。
さてここで、手元の XP システムを破壊して何かバカな行為におよぶ(わざわざ Mac を購入するなど)前に言っておくと、これは悪い判断ではない。この措置は、Vista が肥大化しすぎて新しい PC 上でも遅くなった、と文句を言うユーザーに対処したものであることは間違いない。
Microsoft は、Windows Vista では各種バージョンの DLL ライブラリを格納するために広大なストレージを作成する手法を採った。古いソフトウェアがインストールされていて、これが特定の DLL をコールすると、そのソフトウェアが Vista 上で動作するのに適したバージョンがこの格納場所から探し出される。もちろん、これはそのライブラリ格納場所がかなりの大きさになることを意味する(実際は数 G バイト)。
Windows 7は、旧バージョンの Windows とバイナリでの互換性がなくなる。その代わりに、このような古いプログラムの実行には仮想化技術が利用されることになる。OS に読み込まなくてはならないライブラリの数を削減すれば OS 全体のサイズも縮小され、パフォーマンスも向上するはずだ。
実際、この構想の原動力となっているのが、同 OS のパフォーマンス向上と、旧バージョンの Windows に対する上位互換性の心配が不要になる開発者からの高速アプリケーションの登場だ。
しかし、Windows 7へのアップグレードには苦痛が伴う。バイナリ互換性がない状況ではアップグレードパスが用意されるとは思えないのだ。 したがって、パフォーマンスの向上には障害も伴うが、以下のような選択を行う必要がある。
高速な OS が欲しいのか、それとも上位互換性のある OS が欲しいのか?
この点に関しては興味深い展開になっていくだろう。筆者自身も IT 専門家としては、古いものを捨てて、新バージョンの Windows と、想像しうるもの全てをパフォーマンスで上回る新しいアプリケーションの購入を経営者に直訴する機会を与えられたら非常に嬉しいだろう。
だが、特に市場が毎日激しく動くような状況では、大半の企業や組織がどのような展開を見せるのか想像できるだろうか? 前述したように、これからが見物である。
Microsoft では、「Windows Photo Gallery」、「Windows Mail」、そして「Windows Movie Maker」を OS から削除することにした。そして Microsoft は、これらのプログラムの代わりに各ソフトウェアを Windows Live バージョンとして別途提供することにした。
これは、管理者の観点からすると非常に理にかなっている。筆者は何年も前から、Movie Maker、Photo Gallery、あるいは Messenger(XP システム)まで組み込まなくてはならない理由が理解できずにいた。
「Microsoft Office」を選びたくないという企業や組織もあるので、「Outlook Express」や Windows Mail の両プログラムがあるのは分かる。これら2つは、少なくとも表面上は Outlook のようなものだ。
しかし、法人用バージョンの Windows とホームユース用のバージョンの切り分けは長年の懸案事項だった。ユーザーがアプリケーションの機能や存在までも知らないという家庭用システムを筆者は嫌というほど見てきたのだ。
目の前で「現状」の打破が進もうとしているのは疑いのないところであり、Microsoft に寄せられた Windows Vista を巡る「中途半端な」 反響がその大きな要因となっていることは確かだ。
筆者が Windows Vista を大いに気に入っているのは周知の事実だ。しかし、人々がこれを気に入らない理由も理解できる。筆者は、Windows 7がこのような悪印象をある程度緩和する努力をし、これらの措置が良い方向に大きく前進しつつあるものと信じている。
筆者は、Vista が Windows Me の再来になろうとしていることに対して記事を書いた同僚の J. Peter Bruzzese と同じ感想を持っている。Windows Me は罵倒されたが、Windows XP で人気を呼んだ素晴らしい機能の多くが実はもともと Windows Me に搭載されていたことを Peter は指摘している。
Windows Vista は、「UAC」(いくらこの機能を嫌っていても、これが素晴らしい機能であることはお分かりだろう)、「Bit Locker」、「Windows Meeting Space」など、Windows OS に素晴らしい新機能を追加している。これらは本当の意味でエンタープライズクラスのアプリケーションであり、近い将来復活を遂げて評価されるようになることは間違いない。
Windows 7のニュースを待ち、ほかにどのような変更が行われるのか(あるいはそのまま残るのか)を息を殺して待つ中で1つだけ確かなことがある。この OS は速度が向上し、パフォーマンスに重点が置かれ、明らかに Windows のスリム化バージョンになるようだ。
同製品が今まで目にしてきたさまざまな誇大宣伝の期待に応えるものになると願いたい。Windows XP を初めて見た時にわれわれが感じたしっくりした気持ちを持てれば幸いだ。
この郷愁をいくらか取り戻せることを願って。
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