2008年10月09日(木) 00時13分
【ノーベル物理学賞】「理論物理の系譜に期待」小林誠さん一問一答(産経新聞)
ノーベル物理学賞に輝いた高エネルギー加速器研究機構の小林誠名誉教授(64)は8日、日本学術振興会(東京都千代田区)で産経新聞の取材に応じ、科学技術の現状や課題について語った。一問一答は以下の通り。
−−小林さんは29歳のとき、受賞につながる「小林・益川理論」を発表した。当時と比べ、現在の若手研究者が置かれた環境をどう見るか
「より成果を求められているようだ。また、博士号を取得後も正規採用されない研究者が増えている。地位の不安定は精神面にも影響するだろう」
−−国から支給される研究費を増やすには、納税者の理解も必要では
「時折、国民の科学に対する期待があるように見えるが、普段はそうでもない。研究者から国民に向けた発信をもっと増やすべきだ」
−−近年、自然科学分野における中国や韓国などの台頭が目立つが
「両国は確かに、科学技術への投資を強めている。だが、基礎科学をどの程度サポートしているかを今後、注視すべきだろう」
−−子供たちの理科離れに対する処方箋(せん)は
「自然を理解するためには、出来上がった法則を知るだけではダメ。法則の発見に至ったプロセスを伝える必要がある」
−−故湯川秀樹氏につらなる理論物理学の系譜は、今後も受け継がれるか
「この分野では、現在も研究者の層が薄くなっているわけではない。期待してよいと思う」
【関連記事】
・
【ノーベル物理学賞】政府、リニアコライダー誘致に前向き
・
鶴瓶らに続く有名人…ノーベル賞で京都産業大が歓喜
・
涙の理由は?「老人性涙腺軟弱症です」 ノーベル物理学賞の益川教授
・
ノーベル物理学賞の南部理論がわかる?! 大阪市立科学館「磁石のテーブル」12:19
・
弟子は見た!!ノーベル物理学賞理論確立の瞬間
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081008-00000621-san-soci