2008年10月05日(日) 21時54分
「本当のこと分からない」横田早紀江さん(産経新聞)
「本当の情報、大事なところが何も分からない…」。横田めぐみさんの母、早紀江さん(72)は嘆く。
横田夫妻の元にはめぐみさんについて、さまざまな情報が寄せられる。だが、今どうしているのか、手がかりは得られない。逆に報道に振り回され、ショックを受けることも多い。
《めぐみさんは精神病で自殺した…》
北朝鮮側はそう説明してきたが、裏付けは、当時の担当医とされる人物の“証言”だけだ。
それさえ、帰国した拉致被害者らが「1994(平成6)年まで平壌でめぐみさんを見たという話を聞いた」と証言すると、北朝鮮側は合わせるように「死亡は94年6月」と訂正した。
辻褄(つじつま)合わせだけではない。めぐみさんのものとして提供してきた「遺骨」。通常の火葬時より、はるかに高温で焼き、形が判別できないほど粉々に砕くなど、「鑑定不能との結果を狙っていた」(捜査関係者)。
多くの拉致被害者がいながら、もたらされる情報はめぐみさんのものが圧倒的だ。帰国した5人の拉致被害者も当初、めぐみさんに関する情報のみを積極的に話した。拉致問題の象徴として、横田夫妻を“一本釣り”しようとする北朝鮮側の謀略さえ垣間見える。
「北朝鮮の高官パーティーで似た人を見た」…。さまざまな伝聞情報が伝えられるが、「“死亡宣告”後のことは、何一つ情報がない」(早紀江さん)。
北朝鮮は先月、日朝実務者協議で約束した被害者に関する再調査の先送りを表明、解決に背を向ける。
早紀江さんは誕生会で「今年こそは、と祈っているうちに…。だが、私はあきらめない。めぐみは『帰ってきたよ』とタラップから降りてくる」と話した。来月になれば、めぐみさんが拉致されてから31年。北朝鮮の非道さは何も変わっていない。(住井亨介)
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